遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

アクロイド殺し/アガサ・クリスティー

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アクロイド殺し アガサ クリスティー

羽田 詩津子 (翻訳) ハヤカワ文庫―クリスティー文庫 ¥714 (税込)




江戸川乱歩が選んだベスト10」というのがある。 


1.赤毛のレドメイン家/イーデン・フィルポッツ
2.黄色い部屋の謎/ガストン・ルルー
3.僧正殺人事件/ヴァン・ダイン
4.Yの悲劇/エラリー・クイーン
5.トレント最後の事件/E・C・ベントリー
6.アクロイド殺害事件アガサ・クリスティ
7.帽子収集狂事件/ディクスン・カー
8.赤い館の秘密/A・A・ミルン
9.樽(たる)/F・W・クロフツ
10.ナイン・テイラーズ/ドロシー・L・セイヤ



7と10は未読であるが、私にとっては胸がきゅんとなる懐かしい作品ばかりである。


そもそも、乱歩の影響が強いのか、1947年という昔に彼が選んだものが、

ミステリ本おもしろランキングの常連になっているものだから、

私も若い頃、たて続けに読んだ憶えがあるのである。


いわゆる「犯人捜し」の本格ミステリーばかりである。




イギリスには女王が二人居て、ミステリ界の女王がアガサ・クリスティである。

もうひとりは、もちろん、女王陛下である。


書店のミステリコーナーには、何はなくとも、クリスティ作品だけは絶対に在る。

しかも束で置いてある。

置いておくべき他の作家の作品がなくても、クリスティだけは並べてある。


ジャズでいえば、ビル・エヴァンス的存在か。



ABC殺人事件」「スタイルズ荘の怪事件」「カーテン」「白昼の悪魔」などを読んでいる。

そして誰もいなくなった」以外は、探偵ポワロが事件を解決する作品である。


このポワロも、ホームズやマーローともども、探偵御三家の一人である。


で、ポワロものの極め付きが、乱歩が6位に選んだ「アクロイド殺し」である。


あらすじ
キングズ・アボット村の名士、ロジャー・アクロイドが刺殺されているのが発見された。
警察は犯行の動機、目的、手掛かりなどいっさいつかめず、事件は迷宮入りの様相を呈していた。

そんな時、たまたま村に引っ越し、カボチャ(正確には冬瓜)作りに勤しんでいた
灰色の脳細胞ポアロが敢然と立ち上がった。



ミステリの女王が名探偵を繰り出して創り出した極みの作品である。

これを読もうとされる方、

誰にも内緒で、

まったくの前提知識なしで、

こっそり読まれたい。



レビューは一言だけ。


この作品だけは絶対に忘れないであろう、驚愕のミステリである。