遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

藤井聡太選手「王座戦」で3点差で迎えた9回裏2アウトから満塁ホームランをかっ飛ばしました

昨日は久々に藤井聡太竜王名人の対局がありました。結果から言いますと、藤井の大逆転勝利でした。(上の画像は、対局後の感想戦のもようで、A級の稲葉八段が左端で見学しています。中央の記録係は、藤井と同じ杉本昌隆門下の奨励会員だそうです。)

対局は、藤井の八冠目のタイトルとなる王座戦の決勝トーナメントで、永瀬王座への挑戦者を決めるベスト4への進出を賭けた対局でした。

対局相手は村田顕弘六段(36)で、対局前から対藤井戦は「村田システム」で臨むと公言していました。「村田システム」は、独自に編み出した戦型で、その戦型で最近好調を維持しています。

藤井は村田システムに早い段階から手こずり、午後になって少しずつ差を付けられていき、藤井の持ち時間がほぼ無くなった頃には勝率の評価は村田の90%越えにまで達していました。

しかも、AIが示すベストの手順のとおりに村田の指し手は推移していましたので、わが家のリビングでは「藤井敗戦」のムードが漂っていました。

その頃には、同日に行われた王座戦のベスト4を決めるもう一局に羽生善治九段が勝利していました。なので、わが家では、このまま藤井は負けて羽生がタイトル挑戦者になり、「今年の王座戦は羽生の通算100期目のタイトル奪取になる可能性が出てきた」という会話になっていました。

藤井はほぼ負けを覚悟しているような分かりやすい様子が見て取れましたし、藤井のみならず対局を見守っていたほぼすべての人が「八冠達成は来年以降やな」とあきらめていました。

しかし、腹をくくった藤井は「ここからは、君が100%正しく指さないと僕が勝つよ」といった手を連続し、3点差の9回裏ツーアウト満塁からホームランをかっ飛ばしてサヨナラ勝ちをしてしまいました。粘って粘ってランナー溜めて満塁にして、ここでホームランが打てるのか、それとも三振してゲームセットか、という場面で満塁ホームランを打ってしまいました。

藤井竜王名人はまれに、思い切った戦法で来る相手に苦戦して凡打を繰り返して負けることがありますが、昨日の対局はそれに近いものでした。

それにしても、村田六段の戦いぶりは見事でした。「村田システム」をさらに磨きをかけて、他の棋戦での活躍を期待したいです。

ということで、今年度に藤井八冠が誕生するか、という夢は継続されることになりました。次の王座戦準決勝は、羽生九段との対局になりました。

お楽しみはこれからであります。