遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

自衛隊員の自動小銃の銃口が一般市民に向けられることは絶対避けなければならない

自衛官候補生による発砲事件」という衝撃のニュースが列島を駆け抜けました。(上は事件が起きた、岐阜県の日野基本射撃の全容)

その一報を目にして、被疑者が今年4月入隊の18歳だと知ってはじめに思ったのが「精神的に不安定になっての犯行」か「隊内でのイジメによる犯行」というものでしたが、私の想像はあまり外れていなかったように思います。

まず驚いたのが、今年の4月に入隊した候補生が、6月半ばで実弾訓練をする、という事実です。

事件の被疑者はまだ18歳ですし、訓練による個人の適正を把握した後の射撃訓練でいいのでは?と思います。今回のケースでは、空砲の訓練を1回経た後の、4回目の実弾での訓練だったようです。私のイメージでは、新しく入隊した隊員は、野外で走ったりほふく前進したり板壁を乗り越えたりするような訓練がしばらく続くと思っていたのですが、早くも実弾射撃訓練をしているようなのでした。

有事が迫っていて隊員の教育を急ぐべき時でもないのですから、金の卵でもある自衛官候補生たちの適性をじっくり見極めるための訓練をするべきではないでしょうか。

今朝のモーニングショーに出演していた元自衛隊幹部は、「入隊前の適正検査や試験などで、候補生はA~Eまでの5段階に分けられていて、今回の被疑者はきっとEランクの候補生だと思っていたら、意外にもBランクでした」と話していました。

今回の被疑者が本当にBランクの候補生だとしたら、「Bランク」でも事件を起こすのだから、繰り返しになりますが、時間をかけた入隊後の訓練を通じた適性判断が必要だと思います。

それと、Eランク(具体的な選別方法は不明)の人間がどういった人たちなのか不明ですが、Eランクでも入隊できるという隊員不足事情はどうなんだろうとも思わせられました。

警察による事件捜査が続けられていますが、被疑者は52歳の教官を狙ったと自供しているようですから、イジメや厳しい指導などが事件の原因なのかもしれません。

自衛官のいじめやパワハラの不祥事などはよくニュースになりますが、そんな旧態依然とした軍隊で、国防という使命が果たせるのか甚だ疑問です。

ことほどさように、この国の世を挙げてのいじめ体質はどうにかならないものかとも思わされますが、怨みを持つ人間が凶器を持てばこういった事件はよく起き、その際立った報復事件なのかもしれません。

先だって長野県で起きた猟銃による4人が死亡した事件も、怨みや馬鹿にされたとの思い込み(加害者の勘違いの可能性もあり)からの犯行だったようですが、思いつめた人間が銃や刃物を持ったときに起きる悲劇はなんとかしなければならないと思います。

また、40年前に山口で起きた自衛官の銃撃事件では、犯人は銃を持って市街に逃走したと言いますから、自動小銃銃口が一般市民に向けられるということは絶対避けなければならないことですので、自衛隊は再発防止を徹底することが迫られましょう。

そもそも、自動小銃で戦闘をしなければならないケースが全ての自衛官に訪れることがあるのかないのかも含めて、いろいろ考え直すべきでしょう。

それにしても、事件が起きた岐阜の日野基本射撃場の広さというか長さは大変なもので、ここは旧陸軍の名残の訓練場で明治40年に造られたもののようです(現在の室内射撃場の建物は2015年に建造)。当時は人里離れた所だったのでしょうが、いまは周辺に人が移り住んできたようです。

ということで、平和憲法下の日本での不幸で不愉快な自衛隊内での銃撃事件でありました。

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