遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

里見、編入試験受けるってよ

将棋の女流棋士里見香奈女流六段(30)・四冠(女流王座・女流王位女流王将倉敷藤花)がプロ棋士編入試験を受けることになりました。

里見は編入試験の受験資格条件を女性として初めて満たしていたのですが、本人の申請がない場合は編入試験は実施されなくて、その期日となっていた6月28日直前に将棋連盟に申請が出されました。

そのことについて昨日、記者会見を開いて里見が抱負を語りました。


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上の動画にはありませんが、彼女は受験について「兄と妹(女流棋士の川又咲紀)に相談した」と記者の質問に答えていましたが、相談相手としては最も適切な人選だったと思います。

ご両親なら受験に反対なさったかもしれませんし、将棋の師匠や恩師だったら問答無用で受験を勧めたでしょうから、彼女のことをもっともよく分かっている兄弟姉妹の意見は貴重なものだったと思います。

編入試験は、プロ棋士になったキャリアが一番浅い棋士から順に5人の棋士と対局を行い、そのうち3局勝てば試験にパスすることになります。相手の棋士たちは、キャリアが浅いと言っても地獄の奨励会(プロ養成機関)三段リーグを勝ち抜いてプロ(四段)になった棋士ですから、つわもの揃いです。里見もかつては奨励会三段リーグでプロを目指していましたが、年齢制限によってその夢を断たれたキャリアの持ち主ですから、本人も語っていたように試験は厳しい戦いになると思います。

ただし、女流棋士だけの世界とは言え、数々のタイトル戦で大きな舞台を踏んで経験を積んできたこともあり、相当注目される対局ですから里見の方にアドバンテージはあると思いますし、AIなどを使って自分のスタイルを確立してきた結果、実力も相当なものだと感じられます。

直近に里見が勝利した出口若武六段(27)は、今春に叡王戦のタイトル戦で藤井聡太五冠に挑戦したばかりの棋士ですから、そのレベルの棋士に勝利していることからも、想像以上に強くなっているかもしれません。

奨励会三段リーグで夢を断たれた里見香奈ですが、そこから気持ちを切り替えてよくぞここまで来たと拍手を贈りたいと思います。あきらめることなく地道な努力を続けることで今回のチャンスにつながったようです。

純粋に将棋が大好きで、棋力の向上を目指して強い方と対局したいと思った」と彼女は編入試験を受けるに至った理由を語りましたが、非の打ちどころのない立派な言葉で、私は感動を覚えました。

編入試験は、来月から月1回のペースで実施されることになります。