遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

アベノミクスの亡霊だけが「家計は値上げを受け入れている」と言っている

いまだにアベノミクスのお題目を霊験あらたかに唱え続けているのが日銀の黒田総裁

総裁だから日銀に働く賢明な行員たちは逆らえなくて、ひたすら耐え忍んで総裁の退陣をじっと待ち続けている(たぶん)。

黒田日銀総裁は都内の講演で「家計は値上げを受け入れている」として、金融引き締めをやるつもりはないことを強調した。

この言葉を受けて、4月からの値上げラッシュに悲鳴を上げる国民からは、非難の声がわき上がっている。

どこの誰の家計が値上げを受け入れているというのだろうか。ノルマが厳しい市中の銀行員と違って、日銀職員は世に吹き荒れる値上げの厳しい風を感じることなく暮らせていて、彼らの家計は値上げを受け入れているのだろうか。

たとえば、2022年4月からの輸入小麦の政府売渡価格について、農水省は主要銘柄平均で17.3%の引き上げを行うことを公表した。

この対象となる小麦粉は、まだロシア・ウクライナの戦争以前の収穫のもので、今後ロシアの侵攻による生産量の落ち込みがあることが確実視されている。その思惑で価格が高くなっているようで、今後は小麦粉の生産量不足が顕在化してきてますます価格は高騰すると予想される。

それに加えて、アベノミクスのおかげで円安が進んでいて、1ドル130円台が輸入品の物価高に拍車をかけている。

つまり、世界的なマイナス要素として、食糧不足、エネルギー不足、電力不足、流通などの人材不足、国内の要素としては、政権・政府・日銀の無策・無能による失政、円安など相まって、家計が悲鳴を上げる「さまざまな値上げ」という事態になっている。

それでもなお岸田内閣や自民党の支持率が下がらないおめでたい国なのだから、日本は衰退の一途をたどることは避けられない。

黒田総裁は、7日の国会で自分の講演での発言について「必ずしも適切な言い方ではなかった」と釈明したが、取り消しはしていない。耄碌しているのなら早く辞めさせるべきだろうし、確信犯的な発言をしているなら、国民生活の実態を全く把握していない不勉強さが痛すぎるので、どちらにせよ早く辞めさせるべきだろう。

いま黒田総裁は77歳で、もう十分に仕事をしていただいた(時間的にだが)、彼以外ならもう誰でもいい、お疲れ様であった。