遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

問題作「ドント・ルック・アップ」を鑑賞しました!

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映画「ドント・ルック・アップ」NETFLIXで鑑賞した。

NETFLIXが視聴者アンケートをした結果の、年末年始のお勧め一覧にあった映画で、確かに見逃さなくてよかった!と思わせる作品だった。

すばる望遠鏡(ハワイにある国立天文台)で観測を続けているジェニファー・ローレンスが、ある日地球に向かっている彗星を発見する。

彼女の上司であるレオナルド・ディカプリオにそのことを報告し、彗星が地球に衝突するのが6か月後だと算出したふたりは、軍機に乗せられハワイからホワイトハウスメリル・ストリープが大統領)に報告しに行く。

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しかし、自分たちのことをまともに取り合ってくれないホワイトハウスを後にして、ふたりはケイト・ブランシェットが司会をするゴシップ的なニュース・ショーに半ば無理やり出演をねじ込む。しかし、あろうことか世間が最も注目している離婚を発表したばかりの歌手(アリアナ・グランデ)の次に出演することになるのだった。

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このよくできた興味津々の「つかみ」の後、2時間映画はつづくのだが、12月から映画館でも上映されているこの話題作・問題作をご覧になった多くの方はどのような思いなんだろう。

心揺さぶられ涙が出るほど感動するわけでもないし、むしろドタバタ喜劇に近い表現部分が多くを占めるおちゃらけた映画で「なんじゃこりゃ?」とされておしまいになってはいないだろうか。

米国大統領メリル・ストリープと大統領の息子(ジョナ・ヒル)である大統領補佐官が侮辱的な天然キャラに描かれており、前アメリカ大統領とその周辺を茶化した演出なのだろうが、すばる望遠鏡の持ち主である国の首相や首相官邸の強烈な皮肉(「ハードは一流、ソフトは三流」)のようでもある。

6か月後とはいわないまでも、実は60年後くらいに地球に衝突する彗星がすでに発見されていて、地球環境に無頓着な政府首脳たちだけにそのことが知らされているのではないかと疑いたくもなるEU以外の先進各国なのだが、そういうこともこの映画は訴えている。

それにしても、NETFLIXで製作されたことで、豪華な出演者をチョイスできる資金力もさることながら、「何からも自由である」演出で構成された豪奢な作品であることを知らしめられ、もはやハリウッドや従来からの映画産業に多額に資金は向けられなくなるのではないかとも思うきょうこの頃なのだった。

「ドント・ルック・アップ」Don't Look Up
監督・脚本・製作 アダム・マッケイ(「マネー・ショート」2018、「バイス」2018)
出演者    
レオナルド・ディカプリオ
ジェニファー・ローレンス(「ウィンターズ・ボーン」2010、「ジョイ」2015)
ケイト・ブランシェット
ロブ・モーガン
メリル・ストリープ
ジョナ・ヒル(「マネー・ボール」2011)
ティモシー・シャラメ(「君の名前で僕を呼んで」2017)
アリアナ・グランデ
タイラー・ペリー(「ゴーン・ガール」2014)
ロン・パールマン
マーク・ライランス(「ブリッジ・オブ・スパイ」2016)
音楽    ニコラス・ブリテル(「ムーンライト」2016)
配給    Netflix
公開    日本 2021年12月10日(劇場公開)