遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

1000年の祈り「男でも、首相になれるの?」

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上の広告からどんなことがイメージできるでしょうか?

毎年話題になる新聞広告を提供する「宝島社」、昨日の朝日新聞日刊ゲンダイにこの広告を見開き2面で掲載しました。

ドイツの子どもたちが「男でも、首相になれるの?」と質問するのもうなずけるほど、このピンクのスーツを着たお方は16年間の長きにわたってドイツのリーダーを務めて来ました。

ドイツのみならず、EUや先進7カ国会議でもなくてはならない存在感を示していましたし、世界中が彼女に信頼を寄せていました。

広告を作った制作会社は、広告意図として次のように語ります。

ジェンダーをはじめとする、世界中のさまざまな課題 。
解決が難しいと思えるものも、実はわずか16年という時間があれば、解決できる。
重い腰をあげることができれば、あっという間に常識は塗り替えられる。
2022年。新しい年の始まりに、新しい世界を生み出そうとする人の背中を少しでも押せればと思います

少し話はそれますが、(私はこれから書くエピソードを何度かこのブログで書いてきました)かつて読んだジャック・カーリーという作家の「イン・ザ・ブラッド」というミステリーでは、主人公たち二人の刑事と、遺伝学者とのまさに「イン・ザ・ブラッド」な会話が印象的でした。

地球上の人種(種族)は、血が混ざった方が健康でより強い種族になっていくといったような話です。

人類が誕生して15万年。地理学的に別れていった種族は、互いに持つ種族的な弱点を血を交えることによってより健康で頑強になり得る。文明が発達して人は移動が容易になり、血がミックスされ得る速度は飛躍的に高まってきた。それでも、今のペースで血が混ざりあって、地球で種族がなくなるまで30~40代1000年はかかるだろうと、本書に登場した遺伝学者は語るのでした。

いろんな側面で、日本がドイツに追いつくのは1000年はかかるかなと思います。

1000年経っても女性の割合はいまと変わりませんが、純粋な日本人は皆無になりますから、ドイツに追いつくというか国の概念さえもなくなっているかもしれません。

島国根性の「日本人は純血を守るべきだ」と多くが思っているであろう今後200年くらいは、たとえばジェンダーについて言えば、ガラスの天井は割れないままなのだろうと危惧します。

自民党の女性の政治家が首相になっても、ジェンダー平等なんて眼中にないでしょうから、あと200年くらいは女にとっては大変な国であり続けるのです。

昨年、連合の会長の席に初の女性が座ることになりましたが、何の影響力もない彼女が辞めるまでジェンダー平等は改善しないままでしょう。

そして、地球上で種族がなくなる1000年後まで、日本で差別やヘイトクライムはなくならないことでしょう。

1000年くらい祈り続ける」つもりで腹をくくってしまうと、ドイツのような16年での変容は無理だとしても、30年くらいのスパンで解決すべき問題が物事が改善されていけば、少しは明るい未来もあるような気もします。

私の子どもは100%女性、孫は75%が女性、私の妹の孫は100%女性で、身内だけの狭いことを考えると、何とか彼女たちに間に合う幸せな日本であってほしいと祈っています。