遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

祝・井山裕太 三たびの大三冠

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囲碁井山裕太棋聖本因坊天元(31)が芝野虎丸名人(20)に挑戦していた第45期名人戦七番勝負で、井山三冠が対戦成績を4勝1敗とし名人位を奪取した。

囲碁のビッグタイトルは、棋聖本因坊・名人の3タイトルで、井山新名人はそのすべてのタイトルを独占(大三冠達成)することになった。彼自身3回目の大三冠達成となった。

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数年前には、囲碁の七大タイトル全てを2度にわたって独占していた井山だったが、30歳の峠を前にタイトルを失い始め、今回の名人戦では三冠で名人に挑戦した。

さすがにいつまでも七冠を保持するのは、物理的に大変なことだとはいえ、井山の実力は30歳くらいでピークアウトするのかなと思っていた。

ここ数年AIによる囲碁の研究が進んだ結果、かつての常識的な石の配置(定石)は大幅に変わってきており、囲碁のスタイルが劇的に変化した。

このAI現象は囲碁でも将棋でも同じなのだが、AIで研究しない棋士は大きなハンデを背負って対局することと同じになっている。それは井山にとっても他人事ではないが、結果的に彼はその流れに乗り遅れなかったようだ。

今春の本因坊戦の防衛戦では、芝野名人の挑戦を4勝1敗で退けていて、七冠を独占していた頃よりもさらに強くなったという声があちこちで上がりはじめていた。今回の名人戦で、強烈に強い若い芝野名人を春の本因坊戦と同じスコアで破って、そのことを証明した形になった。

私は、井山の追っかけをするくらい入れ込んでいた時期があり、いまも熱烈なファンで、井山の囲碁以外はあまり興味がない。なので、大三冠の返り咲きを心から祝福したい。

コロナ禍の中、井山はネット囲碁で中国や韓国の若手の強豪などと積極的に対局を行い、鍛錬を積んでいた。ひとりでAI研究をするだけでなく、ネットを利用して強い相手を探して対局をしていたようだ。世界的な若手の強豪を負かしたなどという情報も入っていたので、内心喜んでいたのだが、研鑽を積んだ結果大三冠に返り咲いたようでまことに立派なことである。

また、私生活でも充実していて、結婚をしたというニュースを目にしていたので、そのことも井山囲碁の充実に寄与していたにちがいない。

いましばらくは囲碁界は井山ワールドが続くことになるが、中国と韓国にかつての世界一の日本が追いつく条件は、魔王のように強い井山をすいすい超える若者が多く出てくることだとも思うので、そういう意味でもめでたきことだと思うのである。

井山大三冠、おめでとうございます!

 

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