ドラマ半沢直樹を見ていて「そんな奴おらんやろ」といつも思ってしまう。
「そんな奴」とは、もちろん半沢直樹だ。
現実に、あのようにお上に楯突いたり上司に土下座させたりするような人間はいない。
現実を生きている人間もそういう気持ちはあるが、守るべきものがあるのでじっと我慢して生きている。しかし、半沢直樹は私たちの夢や願望を実践してくれる。あの「勧善懲悪」風味には誰もがうっとりする。
ところが、半沢以外の人物設定は「あるある」なのだ。
悪代官みたいな銀行の幹部やそれにくっついている中堅幹部、老害を振りまく大物政治家やその子飼いの女性大臣や官僚たち。
半沢ドラマでは、歌舞伎のように実際より歪めた表現で悪党たちを面白おかしく演出しているが、現実にはもっと醜くて恥らずな人間はたくさんいる。
半沢ドラマはすごい視聴率だから、多くの人たちが見ているのだが、実際にあのような悪党たちが生息していることにみな気付いているのだろうか。あの悪党たちをドラマを通して目の当たりにして「そんな奴おらんやろ」と思っているのだろうか、まさか。
実際に接していなくても、電波やニュースで接する安倍政権界隈の政治家や官僚は、その醜さや数では半沢ドラマの比ではない。
私の現役時代の周辺でも「出世してちやほやされたい」「いい生活を手に入れたい」ような人間はたくさんいたし、まあそれくらいの望みはかわいいもんだと思っていた。
他人の出世を妬む人間も多くいたし、私もその中のひとりだったかと思うが、他人の足を引っ張るような悪い人間はそんなに多くなかったとも思う。みなまじめに仕事して、認められたいと思っていたと思う。
しかし、エリートというか上級国民になればなるほど、日本には半沢ドラマに出てくるような悪党たちが湧いているような気がする。それも21世紀になって多く湧いてきたように思うし、それと同時にこの国もだんだん美しくなくなってきたように思う。
安倍政権は、ボスが病気で屋台骨がぐらついてきたのだろうか、何か新しい動きがあるかもしれないが、新しいボスに麻生や菅がなったとしても何も変わらいのが残念だ。
麻生が総理大臣になると政権交代が起こるというジンクスは、まだ健在だろうか。それなら、良い兆しかもしれない。この一週間が楽しみだ。