遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

元横綱稀勢の里が早稲田の大学院に進学するのだそうです

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 横綱稀勢の里(荒磯親方)が、先日NHKの相撲解説に出演していた。

 相変わらず聡明な解説で、どの力士にも区別せず温かい励ましの言葉をかけていた。 

 稀勢の里は中卒という学歴なのに、語彙が豊富で話に説得力がある。横綱にまでなる人は、心技体が整っていて素晴らしい人格者なんだなと、感心しながら解説を聞いていた

 その相撲中継のなかで、アナウンサーが稀勢の里が「大学に行く」というようなことを言っていて、ググってみたら、なんと早稲田の大学院に入学が認められ(早稲田大学大学院スポーツ科学研究科の修士課程1年制に合格)、来年4月から学業と後進の指導の2足のわらじをはくのだという。素晴らしいことだと思う。

 日本の大学は、どちらかというと間口を狭くして入学者を選抜し、在学中の学業が適当でもどんどん卒業させてくれる。アメリカをはじめとする海外の大学は、卒業するのに大変勉強させられると聞く。スポーツ奨学金を受給していても、学業が劣悪だと退学を余儀なくさせられるそうだから、大学では学業が命なのだ。

 一つの資格を取るのに、国や大学をまたがって単位をとれるシステムもあり、柔軟で便利なネットワークが構築されている。

 稀勢の里のように中卒であっても仕事に一区切りがついたり、親に頼らず大学に行ける資金が確保できた社会人が、大学に入って勉強するというケースは今後増えてくるだろう。日本の大学は、バカげた統一テストで教育関連業者を肥やす手伝いをやめて、もっと広い間口で安い授業料で社会人や外国人学生を受け入れるシステムを充実すべきだろう。

 ところで。王将リーグの最終戦で負けて挑戦者になれなかった藤井聡太七段。私はとても落胆したのだが、「これが私の今の実力です」と彼がインタビューに答えているのを聴いて、私より落胆していなくて立派だと思った。いま高校2年生の彼は、大学進学はどうするのだろうか。

 私は、大学に行かずに将棋に専念してほしいと思っている。もう大学を卒業したくらいの人格や専門的な技能を備えているので、将棋の専門家として道を究めてほしいと願っている。50歳くらいになってから、学びたいことがあれが大学に入ればいいだろうと思う今日この頃である。