遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

蜘蛛の糸・杜子春/芥川龍之介

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蜘蛛の糸杜子春   新潮文庫
芥川  龍之介    価格: ¥300 (税込)


目次

蜘蛛の糸
杜子春
犬と笛
魔術
アグニの神
仙人
三つの宝

蜜柑
ロッコ
羅生門

芋粥


私は小学生で、担任の先生が何らかの理由でお休みだった時、

自習の監視に来た女の先生がいた。

一日中自習というのも退屈なので、何時間目かに、

物語をいくつか読んで聞かせてくれた。


そのなかの物語のひとつが、忘れがたいものになった。

主人公の名前、カンダタという響きと、

ハッピーに終わらない、にがい物語が、

幼い私には、非常に印象的であったのだ。

いうまでもなく、その物語が「蜘蛛の糸」であり、

私と芥川龍之介との最初の出会いであった。と思う。



以前、「マガジン青春譜―川端康成大宅壮一
http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/6588986.html

を紹介したなかで、私は

芥川龍之介菊池寛の友情&嫉妬物語も、

平行して進んで行き、こちらの方もすこぶる面白い。

菊池の目を通して、芥川の才能をあらためて認識させられる。」

と、書いた。



芥川の短編は、当時大変な人気を博し、

それに燃えた菊池寛も、切磋琢磨して一時代を築いたのであった。

その後、文芸春秋を興した菊池は、

夭逝した親友を悼み、その名を留めた文学賞を制定したのであった。



この短編集は、世界に冠する1冊である。

何の説明も不要である。



クリスマス・パーティーのプレゼント交換、

予算は500円だとしたら、

「芥川のこの1冊 + チョコレート」とか

「この1冊 + 録音用MD2枚」とか

「この1冊 + ヘルシア1本」とかで構成してみてはいかがであろうか。

素敵なワンコイン・プレゼントだと思うけど…。


少年少女向けの文庫も、在る。


私は、「蜜柑」が最も好きである。

逞しくて優しい主人公のような少女が、その後のこの国を支えてきたのだと思う。

大正八年四月、芥川27歳のときの作品である。


「蜜柑」全文↓
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/98_15272.html