遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

幻の女/ウイリアム・アイリッシュ

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「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の空気は苦かった。」

という書き出しでこのミステリーは始まる。


「幻の女」

ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 9-1)
イリアムアイリッシュ (著), 稲葉 明雄(訳)価格: ¥840 (税込)


この本を職場の同僚に貸してやったら、翌朝に返しに来た。

面白くて、止められなくて、最後まで一気に読んでしまった、という。


ミステリのオールタイム・ベスト企画をやると、必ずこの作品は上位にランクインする。


早川書房の「海外ミステリ・ベスト100」では、

「長いお別れ」に次いで、堂々の2位にランクイン。

ただし、この企画は、ハヤカワの作品だけでのベスト100である。


ちなみに、私が過去に紹介したハヤカワ作品と、ベストの順位は以下の通りである。

「長いお別れ」 1位
http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/9501107.html

「死の接吻」 6位
http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/7127116.html

「興奮」   12位
「利腕」   16位
http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/9894393.html

「赤い収穫」 17位
http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/7011731.html(映画「用心棒」関連)

女王陛下のユリシーズ号」 22位
http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/8930768.html

「鷲は舞い降りた」 50位
http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/7128791.html

女王陛下のユリシーズ号」と「鷲は舞い降りた」の冒険小説は、
ミステリにカテゴライズされるかどうかの拘りが選者にあり、このような順位なのかもしれない。


「幻の女」は、ミステリのあらゆる要素がギュッと凝縮されており、

最後の頁まで、一気に読ませるスピード感がある。


未読の方は、私の記事以外には、何の前情報も一切断って、お読みいただきたい。


「死の接吻」、「アクロイド殺し」(アガサ・クリスティ作)なども同じ。

裏表紙の「あらすじ」ならまだしも(私は読まないが)、

奥付けの解説から読む人もいたりするから、老婆心ながらご注意いたす。

それから、ネットでの情報も、ネタバレするものがあるから要注意である。


かく言う、私の「ベスト企画の上位の常連」っていう前情報も、大きなお世話情報だけど、

読めばお解りいただけるので、赦されたし。