遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

マイ・フェア・レィディ/ジョージ・キューカー

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マイ・フェア・レィディ My Fair Lady
公開: 1964年
監督: ジョージ・キューカー

 ミュージカル映画、MYブログ第2弾。

 この映画の裏話は、枚挙に遑(いとま)がない。

 1956年初演の同名のミュージカルは、6年間で計2717回のロングラン公演であった。舞台のキャストは、イライザがジュリー・アンドリュース、ヒギンズ教授がレックス・ハリスンであった。

 しかし、映画化にあたり、イライザ役はオードリー・ヘプバーンが起用されることになった。ただし、歌は吹き替えであった。

 その他詳細は、
   http://www.geocities.co.jp/Hollywood/5710/my-fair-lady.html 
 を参照されたい。


 第37回アカデミー賞では12部門にノミネートされ、作品賞、主演男優賞(ハリスン)、監督賞、カラー撮影賞、カラー美術監督・装置賞、音響賞、編曲賞、カラー衣装デザイン賞の8部門を獲得する。

 しかし主演女優賞は、オードリーではなく、「メリーポピンズ」のジュリー・アンドリュースであった。

 高校時代(1970年頃)映画好きの友人たちと喋っていて、このことが話題になった。

 友曰く、「アンドリュースは、映画の<マイ・フェア・レィディ>の主役をオードリーに取られたのが人生最大のショックだったようだ。

 でも、オードリーも<マイ・フェア・レィディ>でオスカーをとれなかったのが、人生最大のショックだったそうな」。

 当時は私も、オードリーもアンドリュースも若かったが、その後は3人とも平和に暮らせた、と思う。

 この映画は、その後、リバイバル上映のときに、映画館ではじめて観た。

 アスコット競馬場で、社交界デビューするイライザ。
 白いドレス(だったか)で、70mmスクリーンに登場したオードリーに、館内からため息が漏れたのを、今もはっきり憶えている。


 話は逸れるが、
 チャップリンの「黄金狂時代」を大昔に映画館で観たときは、何かの場面で館内で「拍手」が起こった。
 TVのバラエティ番組などでバカ受けのときに、芸のないタレントが「笑いながら手をたたく」あの動作、を、観客が一斉にやったのであった。
 まさに、館内一同、大喝采であった。

 中学生のときに、「ザ・タイガース」という、今で言えばSMAPのような人気アイドルグループの映画を観にいった。
 本編の前のニュースに、偶然「ビートルズ」が登場したのだったが、やおら、数人の女子が席を立ち「キャーーッ、ポール!ジョージ!」とスクリーンに手を振りながら絶叫。

 本編のタイガースの映画では、そんな絶叫は皆無だったのだが、女子の黄色い絶叫を初めて聞いた無垢な中学生であった私は、少しショックであった。


 とまぁ、家でビデオを見ているのとは違った観客のナマの反応が、映画館では味わえるのだが、
 マイ・フェア・レディでのオードリーへのため息は、ロンドン橋が落ちるほど深いものであった。

 深く考えたら、「男が女を改造する」みたいなジェンダーに反する映画だと思われる向きもあろうが(んな人いないか)、お気楽に観ていただきたい。


この映画の採点=☆☆☆☆
双葉十三郎のぼくの採点表より ☆=20点 ★=5点 但し☆☆☆☆★★以上はない)