オール・アバウト・マイ・マザー Todo sobre mi madre
監督・脚本 ペドロ・アルモドバル
出演者
セシリア・ロス
マリサ・パレデス
日本公開 2000年4月29日
上映時間 101分
製作国 スペイン
私好みの淀川長治の流れをくむ映画評論家は、おすぎ(杉浦孝昭)かな?ということで、彼のおすすめ映画を、ツタヤのサイトでピックアップ。ラインナップは以下の通り。
・オール・アバウト・マイ・マザー
・セブン
・プリシラ
・ロード・オブ・ザ・リング・シリーズ
この中から今回は、「オール・アバウト・マイ・マザー」というスペイン映画のご紹介。
あらすじ
マドリードに住む移植コーディネーターのマヌエラは、作家志望の息子・エステバンを女手一つで育ててきた。エステバンの誕生日、二人は「欲望という名の電車」の舞台を観に行く。そして、マヌエラが息子に今まで話さなかった父のことを話そうと決心したとき、エステバンは舞台の主演だった大女優・ウマ・ロッホにサインをもらおうとして車にはねられ、そのまま亡くなってしまう。
息子の死を行方不明となっている父に伝えるため、バルセロナへ旅立ったマヌエラは、ひょんなことから息子の死の原因となったウマ・ロッホの付き人になる。バルセロナでマヌエラは、ウマのレズビアンの恋人で麻薬中毒の若手女優・ニナ、性転換した明るいゲイの娼婦・アグラード、エイズを抱えて妊娠した純朴なシスター・ロサ、その母親でボケの進んだ夫に手を焼く厳格な贋作画家、そして、今では「ロラ」と言う名の女性となりロサにエイズを移した、息子と同名の元夫…といった様々な「女性たち」と出会い、やがて人生への希望を取り戻していく。
スペイン映画を観た記憶はないし、出てくる女優たちとは初対面だったのだが、この作品に登場する個性ある女たちの群像劇が素晴らしかった。
主人公のマヌエラ(セシリア・ロス)を取り巻く、マドリッドやバルセロナの個性ある「カルメン」たち(あるいは女になりたい男たち)は、近松浄瑠璃に登場する女たちのように情念激しくひたむきに生きている。しかし、映画の全体の雰囲気はおしゃれなファッション雑誌のような柔らかさがある。
「オール・アバウト・マイ・マザー」は、スペイン映画としては違和感のあるタイトルだが(スペイン語タイトルを直訳しているのだろうが)内容をよく表している。おすぎが「今のところ“生涯のベスト1”」と言って推薦してくれただけのことはある秀作であった。