舞台監督でもある鴻上尚史が、以下のツイートをしている。
《子役のオーディションをしていると、水筒を持っているのに全く口をつけない。飲んでいいと言うと一斉に飲む。「まさか、君達、小学校じゃあ先生が飲んでいいと言うまで飲んじゃいけないの?」と聞くと全員がうなづいた。身体の声に従わず教師の声に従う。これが教育なのかと暗澹たる気持ちになる》
私が親なら「のどが渇いてからでは遅いから、少しづつ飲みなさい」と言うだろうから、私の子どもは先生と親の板挟みになり悩むことになる。先生の言いつけを守らないと、他の生徒からイジメの対象にもなるだろうから、結局私の親心を無視する形になるのだろう。
電車の運転手は、停車中にもかかわらず水分を取っていたら、その行為を動画撮影されてネットに上げられ、勤務中に水を飲んでいたとディスられる。それが影響して、熱中症になった運転士がいるそうだ。
また、JR東海は客のクレームで震えたのか、勤務中に水分補給をした運転士や車掌は報告書を提出せよとしていた。それが原因で熱中症で搬送される運転士が出たので、JRは報告書の提出を不要として水分分補給を認めた形になった。
出動帰りの消防士が、救急車や消防車を停めてコンビニや自販機で飲み物を買っていたら「さぼっている」と通報される事例もある。
昭和の運動部は、練習中に水を取ることを禁止していた。私の知り合いの1歳下の昭和の高校球児は、ボール拾いで田の水をしょっちゅう飲んでいたと言っていた。ボールが田んぼに落ちると、ボール拾いたちはこぞってボールを探しに行ったという。
しかし、いま水分補給をさせない運動部があったとしたら、その命令はイジメにカテゴリーされる。
水を飲むことをコントロールする教師や、電車の運転士や消防隊員が勤務中に水分補給をしていたらクレームをつける一般市民は、いじめの加害者なのだと意識すべし。
命にかかわる水分補給ひとつとっても、この国は昭和から進化していない。「魚は頭から腐る」といわれるが、この国の頭が長い間腐敗を続けていることと、この国の劣化とは無関係ではないだろう。
ということで、誰が何と言おうと、水分補給で熱中症から身を守りたい。モーニングショーによると、「1時間に100㏄の常温の水」をコンスタントに取ることが必須だという。