遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

クレジットカード情報が体制に利用される

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2015年暮れにカリフォルニア州イスラム国のシンパが起こした銃乱射事件。14名が死亡、重軽傷者17名の大変な事件だったのだが、射殺された犯人の遺したiPhoneのロックを解除依頼されたアップルは、FBIの申し出を拒否した。

当時このユースは日本ではあまり話題にならなかったかもしれないが、私はアップルの対応に感心したことを覚えている。凶悪犯の持つiPhonのロックくらい解除すればいいだろうにと思う向きも多いだろうが、そのことによってアップルの信用度を貶めファンを減らすことは、由々しき問題だとアップルは捉えているわけだ。

私たちは、公的機関や企業に預けた「裸状態の個人情報」を多かれ少なかれ保有しているのだが、その預け先が少なくともアップルが3年前にFBIに示したような毅然とした態度でプライバシーを守ってくれることを期待している。

ところが、日本では私たちの個人情報がハッカーにより盗まれたり、オペレーションミスで漏洩されたりと、踏んだり蹴ったり状態である。

そこにこのほど、Tカードを発行管理する会社が、裁判所の令状なしに捜査機関へ個人情報を提供していたことを公表した。

Tカードを展開している「カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)」は、2012年以降、裁判所が発行する令状なしでも捜査機関に氏名や電話番号などの個人情報を提供していたことを公表した。

Tカードの個人情報提供めぐって国会紛糾。警察庁の担当者「一般論」を繰りかえす

すでに「過去形」の話で、6年前からそれを繰り返しているようなのだ。私もTカードを持っているが、とんでもない企業であることが判明した。

また、Tカードは一部の図書館(ツタヤが受託している図書館か?)では、貸出カードも兼ねているようだ。もし図書館の個人利用データが手に入れば、図書館で借りた本の傾向を分析し個人の特性が解析され、そのデータが警察捜査に利用されることも想定される。

私も、地元の公立の図書館カードを利用し、ネットオンラインを利用して本を借りているが、その情報を集積すれば人物像やその性向が分析できる。

また、クレジットカードでの買い物データ、交通系の乗車カード、カーナビやETCの情報、ネットのアクセス履歴データなどで、消費性向や行動形態や性的嗜好や過激的暴力的な性格なども特定できて、商業的な広告情報リストや警察の犯罪者予備軍リストに載せられる可能性も否定できないのだ。

今やさまざまにカテゴライズされた住所と氏名付き人物像のデータベースが、いとも簡単に構築できるのである。もう構築途中だと思ってもいいかもしれない。

国会では、立憲民主党などがこの問題を取り上げているが、私たちのプライバシーの安全ベルトやセーフティネットは、残念ながらメディアにはあまりしっかり固定されていなくて、わずかに国会の野党に直結されている。

Tカード(他のクレジットカードも同じか?)のように、軽々しく個人を売り渡す暴挙を許してはならない、野党には徹底してこの暴挙を粉砕してもらいたいものである。