遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

大間のマグロで初夢を見る

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豊洲で初競りにかけられるはずの大間の巨大マグロが釣り上げられたニュースは、前もって見ていた。家族と、「このマグロどれくらいの値段が付くやろ?」と楽しみにしていた。

翌日、豊洲で当のマグロは3億3千万円の値が付いた。

複数の条件が重なった。
278㎏の巨大マグロが獲れた。
大間で一本釣りで獲れたクロマグロだった。
豊洲の初セリに間に合う1月4日の朝に獲れた。
豊洲ではじめての新春初セリが行われた。
いつも競り落とす「すしざんまい」とライバル会社が競り合った。

この条件が重ならないと、3億3千万円の値はつかなかった(たぶん)。

一攫千金を扱うテレビのドキュメンタリーで、大間のマグロの一本釣り漁師を追いかけるドキュメンタリーが好きでよく見ていた。

昔は、漁師が手袋をはめた手で、直接太い釣り糸をつかんで仕掛けにかかったマグロとやり取りしていたが、いま新しい機材を積んだ船では、滑車のような電動の回転ドラムに釣り糸を巻き付けて、マグロとやり取りできる。

マグロが走るとドラムは逆回転して糸を送り出すし、引き寄せるパワーも十分に備えている。

今回釣り上げた漁師は、兄(64)と義弟(49)二人で船に乗っているそうだ。なので、巨大なマグロがかかっても取り込む際の容易さは、かつて単独で船を操舵しながら力業で取り込んでいたのとは比べ物にならないと思われる。

落札額の行方 3億3360万円はどう配分されるのか? 
青森県漁連に1・5%(約500万円)
大間漁協に4%(約1334万円)
豊洲市場で競りが始まるまでマグロを預かる荷受業者に5・5%(約1834万円)
釣り上げた漁師は、所得税などの税金約4割が源泉され1億7800万円を受け取ることになるようだ

釣り上げた二人は、約20分で釣り上げたそうだから、時間給にすれば天文学的数字になる。使いみちは、船のローンを返済したり船の整備に使いたいそうだが、それでもお釣りがくるでっかいお年玉だろう。よかったよかった、めでたい話だ。

すしざんまいは、豊洲や漁協や漁師へのご祝儀と自社の宣伝効果を狙っての3億3千万円の値付けだろうが、ZOZOの社長がばら撒いた下品な1億円のお年玉より、はるかに麗しい初夢のようないいお話だった。