想田和弘の観察映画「選挙2」(2013年)のご紹介。
時は、3.11東日本大震災直後のことだった。
山さんは、前回の選挙と全く逆のことをした。選挙活動費用は8万円ほど。ただし、供託金は50~60万円は別途必要で、川崎市議選では600票以上獲れば供託金は返ってくるようだった。
私がもし選挙に出たらと考えていたシナリオがあるが、山さんが「選挙2」でやった選挙とほぼ同じ。公約もよく似ている。
前の映画から5年経った山さんは、乗り換えずに相変わらず同じ軽自動車に乗ってはいるが、かわいい子どもさんが誕生して、奥さんともども印象がずいぶん変わった。以前に比べると、二人は余裕のある生活人というイメージで、山さんは子どものために脱原発を訴えるリベラル派に変身した。自民党選挙・政治に辟易した結果のことなのかもしれない。
政治屋の政治活動とはほぼ選挙活動のことで、彼らは党推薦が欲しい金が欲しい顔出しで有名になりたい以外の願望はなく、日夜その願望に沿った活動を行っているだけのことなのだと断言してもいい。
山さんの、ほぼ金をかけない手作り選挙を、想田のカメラは丁寧にトレースする。いわゆる選挙活動という活動をほとんどしない、そんな山さんを見ているだけで、心が浄化されていくのである。