遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

祝再びの七冠/井山裕太

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昨年の秋、名人位を失冠し6冠になった囲碁棋士井山裕太

その後、1年で6冠をすべて防衛して、加えて失った名人戦の予選リーグを1年かけて全勝して、高尾名人への挑戦権をつかんだ。

今期の名人戦は、初戦で負けてのち4連勝した井山は名人位を奪還し、再び7冠に返り咲いた。

また、井山には過去に取れなかった最後のタイトル「NHK杯」も優勝して、この1年間はほぼタイトルを独占した状態であった。

生涯で1度でもタイトルを取ったことがある棋士は、例えば大相撲で言えば場所優勝した力士、プロ野球なら何らかのタイトルを獲得したことのある選手と同じようなレベル。いや、もっと大変なことだろうと思うが、井山はそのタイトルを一人で独占しているのだから、何とも超人的である。

しかも、それだけ強くても「あんな人たちに負けるわけにはいきません」などと、他の棋士をバカにしたようなところはみじんもない。28歳にして技量も人格も完成したような超人である。

上の画像は井山と並ぶ作家の小川洋子だが、毎日新聞紙面で小川洋子が井山にお祝いを述べている。
《いつもお会いするたびに、人間の知性や品位について思いをはせ、すがすがしい気持ちになります。偉業を成し遂げられたことを、心から喜びたいと思います。100年に1度あるかどうかの出来事を、同時代のこととして目の当たりにできたことは幸せです。》

井山は、海外でのタイトル戦と国内のタイトル戦が干渉しないように日程を調整してもらえるように、国内タイトル戦の主催者であるすべての新聞社に足を運んだという。
これは、国内だけの王者として満足せず、もっと頻繁に海外に出て中国や韓国の強豪と渡り合いたいと切に願っている行動だといえよう。実は世界の強豪は二十歳そこそこの若い棋士が多いのだが、井山はまだまだ進化し続けようとしているのである。

井山裕太、再びの7冠、おめでとう。