現在京博で開催中の国宝展の目玉の一つがこの作品。
私はこの作品とは、3回目のご対面になる。
LEDライトの進歩か、室内の照明はさほど抑えていなくて一際燦然と輝く「風神雷神図屏風」であった。
「たらし込み」という技法で描かれた黒い雲に乗って、金箔の空間にジャンと現れた二人の神。
顔は嗤っている、「これからひと暴れしてやる」といういたずらっ子のような笑顔。
あとは画面に何もない、何もないけど、
風が見える
雷鳴が轟く。
二曲一双の両端の風神と雷神、その間の、ちょうど全体の半分のを占めるこの絶妙なる距離感、宇宙の如き広大な空間であった。
見学者の何人かが、その空間に吸い込まれるように消えた、きっと幻だったろうけど…。