遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

フェルナンド・メイレレスのリオ五輪開会式

イメージ 1

英カルチャーサイトShortListが、「2000年代を代表する映画25本(The 25 Greatest Movies of the 00s)」という特集で、ゼロ年代(2000~2009年)の見るべき映画を教えてくれた。
これらがどれも面白くてとても楽しめたのが2年ほど前になる。その中で、これはと真っ先に観たのが、ブラジル出身のフェルナンド・メイレレス監督の「シティ・オブ・ゴッド」だった。

このたびのリオ五輪の素晴らしい開会式の演出を手掛けたのが、そのフェルナンド・メイレレスだった。

リオのファヴェーラ(スラム街)の貧しくてたくましい少年たちを描いた「シティ・オブ・ゴッド」は、200人の素人の少年たちを使って映画を完成させた。また、「ナイロビの蜂」という映画では、アフリカのスラム街と美しい自然と暗躍する白人たちを描いて、印象深い映画を作り上げた。

メイレレスはこの2作しか見ていないが、リオ五輪の開会式の非凡な演出には、彼の才能からして驚くべきものではなかった。開会式の演出アイデアは、どれくらいの年月をかけて準備されたものなのか知らないが、多くの人たちを時間をかけてリハーサルし、あの色鮮やかで芸術的な造形美が其処此処に見ることができる素晴らしい開会式を完成させたのだろうと容易に想像できる。

残念だったのは、8月6日の開会式で、広島に原爆が投下された時刻に黙とうを行うという演出が、IOCの中立的立場から実現しなかったことだった。しかし、日本を象徴する舞踏やコスチュームなどはセンスの良い演出で、メイレレスの日本への敬意や平和への強い思いが感じられた。

次は、フェルナンド・メイレレス監督の映画の新作が待たれるところだ。

メイレレス関連私のブログ記事 
2000年代を代表する映画25本