遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

書道展「王義之から空海へ」に感動しました

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大阪市立美術館で開催中の「王義之から空海へ 日中の名筆漢字とかなの競演」展に行ってきました。(会期は5月22日まで)


おもな展示作品を、中高生向けと思しきパンフレットを利用して、上記画像でご紹介しています。


最澄の「久隔帖(きゅうかくじょう)」はすでに展示が終わっており、代わって空海の「風信帖(ふうしんじょう)」が展示されていました。この空海の国宝「風信帖」に合わせて足を向けたのですが、会期間近からなのか入場者が多くて驚きました。


王義之(おうぎし)、空海をはじめ、「三蹟小野道風(おののみちかぜ「トウフウ」)、藤原佐理(ふじわらのすけまさ「サリ」)、藤原行成(ふじわらのゆきなり「コウゼイ」)の書などが一同に会した素晴らしい展覧会でした。また、台湾からの出展もあり(もとは中国大陸で生まれた作品)、1700年前の王義之の流れを受け継ぎながら生み出した個性ある作風が実に見事でした。個々の作品はまたの機会にご紹介したいと思いますが、とても感銘を受けた作品群でした。


それにしても、古くは千年以上も前の「紙」の作品が、度重なる戦火や自然災害などを乗り越えてよくぞ残ってくれたものです。


書は、その芸術を成り立たせているファクター(要素)、書法や筆法などの技法はもちろんのこと、紙・絹・筆・墨・硯などの素材や道具、表装の技術などが合わさった実に長い歴史を重ねて伝承されてきた総合芸術だということに、いまさらながら驚かされます。空海などの書家が主役で、表舞台に登場することのなかった名もなき職人たちが主人公とその芸術を支えて、耐久性のある作品を今に残してくれたことを忘れないようにしたいと思います。