遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

不正のトップと哀しみのステークホルダー

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三菱自動車は懲りない企業で、またやらかしてしまった。というか、今回の件は20年以上も不正を続けていたのが今ごろになって、他社から指摘されてそれがばれてしまったという体たらく。企業の上層部がどこまで絡んでいたのか知らないが、上意下達の燃費データ不正事件だと想像に難くない。ユーザーも従業員も株主も浮かばれないほどひどい不正である。

なぜわが国はこういうことがなくならないのだろうか。ユーザー・消費者と従業員と株主をまとめて「ステークホルダー」と呼ぶとすると、企業トップの無能や不正で、ステークホルダーは腹が立つやら悔しいやら、泣かされっぱなしなのである。場合によっては、泣く前に抹殺されているようなものだ。さまざまな形の「ブラック企業」が存在し、ステークホルダーは常に圧迫され続けているのだ。

悪意があろうがなかろうが、利益が上がればステークホルダーは喜んでくれると思うのはトップの錯覚である。そもそも消費者はそんなこと関係ないし、従業員は賃金さえもらっていればいいのだし、株主は株価が下がらなければいいのだから、利益が上がって内部留保が増えることよりも心身ともに健全でクリーンな企業であってくれればいいのだが、そこが無能なトップにはわからないようである。

これは企業ばかりでなく、国でも同じことが言える。無能で悪意のある国のトップがいる限り、ステークホルダー(国民・住民・役人・メディア・企業・同盟国・貿易国・近隣国など)は、常に不安で焦燥感がぬぐえないまま委縮したり猜疑心を覚えたりしてしまうのではないだろうか。これは、架空の話ではなく、目の前の現実なのである。

トップのいちばん新しい不正と無能ぶりは、熊本地震のどさくさにまぎれた緊急事態条項を憲法に盛り込もうとする動きやTPPの強行審議や激甚災害指定のためらいや川内原発の放置や無能な現地対策本部長(この本部長はマンション購入スキャンダルもあり)の更迭などである。ここ1年の原発や安保法制関連のトップの悪事については、何をか言わんやである。

「いやならこの国から出ていけ」ばいいのだろうが「無能なトップさえいなくなればいい」だけの話なので、私は逃げたりあきらめたりせずにこの国のトップがくたばる様子を楽しみたいと思うのである。