遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

雪中の狩人/ピーター・ブリューゲル

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 雪中の狩人

作者 ピーター・ブリューゲル(1525年頃 - 1569年)
制作年 1565年  素材 油彩
寸法 117 cm × 162 cm
所蔵 美術史美術館(ウィーン)
 
ウィーンのリンク沿いのマリア・テレジアの大きな像に、「さ、お入りなさい」と促されて入るは、ウィーン美術史美術館。
美術の教科書でもおなじみのピーター・ブリューゲルの「雪中の狩人」は、ベラスケスの「青いドレスのマルガリータ王女」などとともにここで私たちを待っている。

この絵画が描かれたのは1565年でブリューゲルの晩年、ダビンチの「モナリザ」が描かれてからほぼ50年後のことである。今回改めて調べてみて、そんなに昔の作品だったのかと感無量。

なるほど遠景の処理などはルネサンス風であるが、左手前の狩人たちのリアルな生活感や、遠くに氷上で遊ぶ多くの人たちの賑わいが、天使や聖母の絵画とは程遠い現実感がある。近代的な趣もある。

はるか遥か遠くまで拡がる夢のような冬景色と優雅に滑空する鳥たちと、村人たちの暮らしぶりが対照的であるが一体感があり、見事な作品に仕上がっている。
これも、美術史美術館で対面したが、畳大のキャンバスなのにその広がりや奥行きは広大な感じがする。

観ているだけで、こころがかなたに飛んでいく。鳥になれる一枚である。