画像は、東京にある伝統的な画材を扱うとあるショップ。
墨や硯や筆と共に、日本画を描くための岩絵具が1500色以上もディスプレイされているようです。(右上)
中には化学的に作られたものもあるのでしょうが、自然界の鉱物から作られた美しい品ぞろえです。
大きなお世話ですが、あまりにも凝った演出のショップで、見ているだけで「おなか一杯」になり、商業的に成功しているディスプレイなのでしょうか。
岩絵具は皿に取り分け、水に溶いた膠(にかわ)で溶かして絵具として使用します。書のために硯で墨をするように、日本画を描くために岩絵具を指で溶かします。
話は少しそれますが、油絵具も昔はアトリエで鉱物の粉を油で溶かして絵具に仕立てました。産業革命後に、チューブが発明されてから、人々は油絵具をチューブに入れて携帯することができるようになりました。
自然光を受けて手軽に絵を描けるようになったのは、絵具を携帯できるようになったからです。それは、電話が携帯できたことより価値がある出来事だったかもしれません。
さて、私は岩絵具を使った経験はありませんが、丹念に墨をすったり絵具を作る作業に、儀式のような精神性を感じます。もっとも日本画の創作そのものが、祈るように色を重ねる儀式のようなものなのかも知れません。完成した作品からオーラが放たれているのは、作家の祈りが通じたものなのでしょう。
日本画に限らず、芸術の普遍性は、作家のオーラを感じるというようなものなのでしょう。