またもやスキーバス事故で犠牲になった若者たち。やるせない思いがする。
彼らは、利益追求のためだけに血道を上げるブラック企業、つまりずさんなバス運行業者やツアー企画事業者の犠牲者だといってもいい。大人を信じて少しでも格安で休暇を楽しもうとして、裏切られた結果になったのではないだろうか。
今回の事故のバスの運転手は、65歳。もし乗車する前に、40歳と65歳の運転手のどちらかを選べるとしたら乗客はどちらを選ぶだろう。夜を通して運行するバスのハンドルを任せられる業務を引き受けるには、65歳は賞味期限を過ぎていると思う。しかもこの運転手のキャリアはまだ15年なのだから、リスクは大きい。運転手を確保できないようなツアー企画は、成立させてはいけない。
ところで、自殺者が3年連続で3万人を割ったとか、刑事事件が減ってきたとニュースで伝えられていて、とてもめでたいことだとは思うが、その中身も分析するべきかもしれない。
刑事事件と扱われない、ブラック企業による殺人的な若者の使い捨て雇用をどう見るのか。零細企業ではなく大企業がブラック企業で、若者がどんどん使い捨てにされている。あからさまな刑事事件ではないが、利益優先の悪徳企業による巧妙な「傷害事件もしくは殺人事件」だといっても過言ではない。そして、その「傷害」や「殺人」という狼藉は、自ら雇用する若者だけでなく、顧客である若者にも波及したのが今回の事故ではなかろうか。
使い捨て雇用同然の若者たちだけでなく、65歳の老人が徹夜でバスを運転する職業につかなけれはならない、という現実も、食っていくためとはいえ大変なことだと思わずにはいられない。格差社会の一端が見え隠れする。
ブラック企業による事故や事件は後を絶たない、何とか防止策を講じるべきだ。私たち消費者も、罠にはめられないように注意するべきであろう。一例をあげれば、私の大切な友人も、病気を持ちながら一生懸命仕事をしている。クビになる心配のない職場と地位にいるのに、一生懸命さを捨てられなくてなんだか不憫だ。
「一億総びくびく時代」なんだろう。
事が起こったあとで言うのは簡単なことだが、それでも言いたいのは、回避したり、逃げたり、疑ったり、主張したり、抵抗しなければ殺されてしまう世の中だということだ。びくびくするのをやめたまえ、差し当たり、逃げろ善人たち!