遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

「新聞屋」佐伯祐三/二科100年展

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  佐伯祐三 「新聞屋」 1927年第15回二科展出品 74×60cm    個人蔵

「伝説の洋画家たち 二科100年展」 から、私の記事としては最後の一枚のご紹介。

佐伯祐三(さえき ゆうぞう、1898年 - 1928年)は、大阪市の出身。

佐伯の作品「新聞屋」は、1927年(昭和2年)の二科展に出品された。佐伯は30年の短い生涯のうち6年間を職業画家として活動したに過ぎない。そのうち4年ほどをパリで過ごし、パリで亡くなった。この作品は、最初の2年間のパリ滞在から帰ったばかりの佐伯が出品した作品。

明るい街かどと真っ暗な店内のコントラストのメリハリが斬新で、魅入られる。初めて見た作品だが、いつものように佐伯祐三の強烈な個性がドカンと伝わってくる。

昭和初期に二科の展覧会に来る人たちは、どのような人たちだったのだろうか。
「へー、パリは新聞をこんな店で売ってるんですか、はー」と驚いたのかも。
それよりも、パリ帰りの佐伯の個性に驚いたかもしれない。
「へー、いまどきのパリでは、こんな絵を描くんですか、はー」。

本日紹介の佐伯の作品は、個人蔵とあるが、大阪市立近代美術館建設準備室には「郵便配達夫」など、佐伯作品が50点あるという。市立近代美術館はいまだに「準備室」のままであるが、橋下大阪市長はこのお宝作品を売り飛ばさないでいてくれたので、何とか散逸を免れた。

「伝説の洋画家たち 二科100年展」 
大阪展 11月1日まで  大阪市立美術館で開催中
福岡展 11月17日~12月27日まで 石橋美術館(久留米市)で開催
石橋美術館より 
この展覧会の会期中は《海の幸》を含む青木繁作品の展示はありません。次回の展示予定は2016年1月23日-3月21日となります。