遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

メキシコに於けるマドレーヌ/藤田嗣治

イメージ 1

 藤田嗣治 「メキシコに於けるマドレーヌ」第21回二科展 1934年 
                           京都国立近代美術館

「二科100年展」から、藤田嗣治(ふじたつぐはる、1886年 – 1968年)の作品をご紹介。

2人目の妻と離婚したばかりの1931年、当時パリ在住の藤田は愛人のマドレーヌと個展を開催するために南北アメリカに行き人気を博した。その後日本に帰国し、戦後(1949年)再びパリへ渡航フランス国籍を取得し、パリで亡くなった。藤田はパリで認められた、国際的な洋画界のスターであった。

この「メキシコに於けるマドレーヌ」は、1934年に二科会の会員になった藤田が第21回展に出品した作品。
戦前マドレーヌと廻ったメキシコの思いでを表した1枚。心なしか、憂いを感じるマドレーヌの表情が気になるが、戦前のおおらかな時代の空気をも感じさせる。
何人もまねのできない藤田の「乳白色の肌」技法はすでに完成されており、本作でもその技法をいかんなく発揮している。白いドレスも華やかで涼やかで美しい。

本作は、かつて藤田嗣治展で私がとても心惹かれた「タピスリーの裸婦」(1923年)とともに、京都国立近代美術館所蔵作品である。

「伝説の洋画家たち 二科100年展」 
大阪展 11月1日まで  大阪市立美術館で開催中
福岡展 11月17日~12月27日まで 石橋美術館(久留米市)で開催