藤田嗣治 「メキシコに於けるマドレーヌ」第21回二科展 1934年
2人目の妻と離婚したばかりの1931年、当時パリ在住の藤田は愛人のマドレーヌと個展を開催するために南北アメリカに行き人気を博した。その後日本に帰国し、戦後(1949年)再びパリへ渡航しフランス国籍を取得し、パリで亡くなった。藤田はパリで認められた、国際的な洋画界のスターであった。
この「メキシコに於けるマドレーヌ」は、1934年に二科会の会員になった藤田が第21回展に出品した作品。
戦前マドレーヌと廻ったメキシコの思いでを表した1枚。心なしか、憂いを感じるマドレーヌの表情が気になるが、戦前のおおらかな時代の空気をも感じさせる。
何人もまねのできない藤田の「乳白色の肌」技法はすでに完成されており、本作でもその技法をいかんなく発揮している。白いドレスも華やかで涼やかで美しい。