遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

誰が兵士になるのか/安保法制

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大西巨人の「神聖喜劇」。主人公の東堂は軍隊入隊時の身体検査で、担当軍医に適当な病名を付けて即日帰郷にしてやろうかと持ちかけられる。東堂は著者大西巨人自身で、九州帝国大学の出身で、特別視される「特権階級」の端くれであった。その軍医は、東堂と同じ中学・高校・大学の出身で、そういう他でもない新兵を、即刻除隊させてやろうとしたのである。

特権階級が、徴兵を免れることができることを表した場面であった。これに似た兵役免除は、特権階級にはいろいろ用意されているのだろう。
大西巨人は、実際に軍医から兵役免除を促されたのかもしれない。彼は、それを断って、お国のために命をかけて、新兵として対馬に赴いたのであった。

特権階級は、世の中がどのようになっても兵役を免除されるのだろう。もしくは、銃弾から遠く離れたところで腕を組んで戦況を見守ることができる部署に配属されるのだろう。おそらく、政治家・官僚・財界に所属する人間とその関係者たちがその特権階級に属するのだろう。よく分からないが、18歳から45歳くらいまでの男のほとんどと、一部の女は、特権階級を除いて戦場に駆り出される可能性があるのではないだろうか。今度の安保法制が成立したら、そういう国に一歩近づくと覚悟するべきであろう。

安保法制案を具体的に書いたのは、どこの誰なのだろう。一部の血気盛んな元官僚政治家や、官邸に省庁の垣根を越えて呼び集められているという官僚や、外務省や防衛相の官僚が、親方(政権)のお眼鏡にかなった元ネタを作ったのだろうか。

とにかく具体的な話が見えてこないが、戦争になっても困らない若い特権階級が安保法制案を作ったのだとしたら、野党は突っ込みどころ満載なのにそういうことにはなっていない。地球上でひとつだけの、誰もが兵士にならない国を、野党には死守してもらいたい。

ラサール石井が「今はまだ配線するだけで、誰もスイッチなんか押しませんからと。説得されて配線を許すと。必ず未来にスイッチを押すバカが現れる。だから配線工事をやめさせなければならないのだ。今はそのための配線図の書き換えが行われようとしている」と実に分かりやすく言ってくれている。

スイッチを押すバカは日本会議とその周辺と内閣法制局で、配線工事は官僚なのかな。それから、「安保法制は合憲です」と政権御用達最高裁判事が判決を出す。それ自体が、三権分立に違反している、違憲状態なのだ。安保法制が違憲というだけでなく、権力のチェック機能が働かない仕組みが、違憲状態なのだ。

とにかく、血なまぐさい思いをするのは選挙権を持つ主権者われわれなのだ。
ようやくみな気付き始めているけれど、繰り返し繰り返し同じことを主張していくほかない。がんばれニッポン!