遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

一般質問ゼロ議会

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いまなら人前で上がったり演説が下手な政治家でも、マニフェストを書いたり日常の活動報告をブログに書けば、効率よく有権者に自分の考えや行動を示すことができる。それはそれで立派だと私は支持する。

一方、声を出して行動する政治家もいる。辻に立ち、道行く人を心ある演説で立ち止まらせ、自分の考えを訴える。あるいは仕事場である議場で、そういうパフォーマンスを行い人心をつかむ。

私の最寄りの駅では、時々朝の駅前でただ単におはようございますと挨拶をするだけの市議がいる。さすがに顔は覚えたが、彼は自分の名前も言わないので名前は知らない。名前を知らない(覚える気もないのだが)ので、彼の政策は知らない。彼はただ挨拶をして顔を覚えてもらい、そのうち名前も覚えてもらうために辻立ちしているというだけなのだろう。

いっぽう、こういう議会もある。

今回の統一地方選挙で改選が行われた福岡県大任町議会では、今回改選の議員たちの任期中ただの一度も一般質問がなかったという。

町議会事務局によると、最後に一般質問があったのは2010年6月9日。全国町村議会議長会などによると、3年以上ない町村議会は全国に二つしかなく、大任町が最も長く「質問ゼロ」が続いている。

一般質問がないということは、議事に反対もなく「しゃんしゃん議会」ということなのだろう。画像はその議会の議場だが、内装だけは立派なことである。

統一地方選挙(前半)は、41道府県議選のうち38道府県が過去最低の投票率となった。17政令市議選では12市で過去最低の投票率を記録した。
投票率低下の理由はいろいろあるだろうが、「自民党のひとり勝ちにつき有権者は無関心」といったことなのだろう。

方々で新しいメンバーで開かれる議会は、一般質問があろうがなかろうが対立軸がないダイナミズムに欠ける地方政治が「粛々」と展開されようとしているのだろう。沖縄だけが別なのだけど。

この国はいままでもこんな国だったのだろうか、これからいったいどこに向かっていくのだろうと思わずにはいられない。