また、朝日俳壇の選者としての話もされていた。毎週はがき5~6千枚に目を通し、10の入選句を選ぶという。95歳の選者は老いてなお健在で素晴らしい。
1月の入選一覧は以下の通りで、1月23日の一宮の森さんの句が印象的だった。
<いとうせいこう>
どのような理念のもとで自分は兵とならなかったか。憲法九条の力。
<金子兜太>
憲法九条の有難さ。これがなければ徴兵されていたかもしれない。
<私>
平和とは飢えぬことなり根深汁(ねぶかじる)(1月31日)
戦争の悪夢忘れて七十年(1月29日)
俺だって平和が好きさデモに行く(1月28日)
九条が守る国あり春雷す(1月27日)
終戦日十七才の夏でした(1月26日)
平和ってれんげの首輪結んだ手(1月25日)
子らが戦史学び涙す沖縄忌(1月24日)
平和には主義などないと大根干す(1月22日)
戦争の後ろ姿を離すまじ(1月21日)
いつか来た道は通行止メである(1月19日)
寒き世や残してならぬ原発禍(1月18日)
こうべ垂れ敗戦を知る夢いまだ(1月17日)
かたつむりいずこの国へ汗の道(1月16日)
戦場になれば子が死ぬ狂い花(1月15日)
芋南瓜(かぼちゃ)命繋(つな)いで八十路かな(1月14日)
シャボン玉平和の形かも知れぬ(1月13日)
あたたかき孫の手九条あればこそ(1月12日)
全員びんた今宵(こよい)も終る冬の月(1月11日)
あ ひこうき 子供に言える平和かな(1月10日)
(入選取り消し 1月9日)
聖戦などあるはずなくて枯蓮(かれはちす)(1月8日)
ひめゆりの娘(こ)らにも見せたい夏ロック(1月7日)
はらからの命抱きたり大銀杏(おおいちょう)(1月6日)
合掌す穴にひっそりみづあふひ(1月5日)
うばわずにこわさずに 明日はぐくむ手(1月4日)
一票は銃弾より重し八っ手(やっで)花(1月3日)
平和とは一杯の飯初日の出(1月1日)