偶然にケーブルテレビで、成瀬巳喜男の「流れる」を鑑賞。
読み応えのある素晴らしい作品だった。
その原作の色合いを失うことなく、成瀬は映画化した。
原作が存在するとはいえ、相当量が書き足されている出演者のセリフは、
それぞれに性格付けが成功していて、素晴らしい調和を持たらしている。
そして何といっても、稀代の女優たちの存在感。
公開当時の年齢順に並べると、
とりわけ山田五十鈴の貫禄には感服する。
高峰秀子と親子の関係なのだが、実年齢差は7歳、
高峰の年齢設定は20代前半だとはいえ、山田の大人の雰囲気に圧倒される。
(この作品の女将は、うまく切り盛りできていないのだが)にはなれないと思う。
今の日本の女優でこれに匹敵する人は、坂東玉三郎くらいで、
玉三郎は女優ではないので、こんな女優は今はいないということである。
最後に、杉村と清元の弾き語りをする場面があるのだが、その歌と演奏にも感心した。
もともとその素養がある人なのか、演技なのか、
そのどちらが欠けても成立しない、迫真のシーンであった。
高峰秀子は、芸者役を演じる周りの女優に混じって、若い堅気の女性を演じており、
成瀬に綺麗に撮ってもらっており、原作にはない存在感を示していた。
また、田中絹代は、懐の深さを持つ女優だということを、この作品で示していて、
これぞ日本の映画女優という気風を感じさせる演技であった。
スタッフ
製作総指揮:小林一三 (83)
原作:幸田文 (52)
脚本:田中澄江(48)、井手俊郎(46)
衣裳考証:岩田専太郎(55)
清元指導:清元梅吉 (67)
プロデューサー:藤本真澄 (46)
監督:成瀬巳喜男 (51)
製作総指揮:小林一三 (83)
原作:幸田文 (52)
脚本:田中澄江(48)、井手俊郎(46)
衣裳考証:岩田専太郎(55)
清元指導:清元梅吉 (67)
プロデューサー:藤本真澄 (46)
監督:成瀬巳喜男 (51)