遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

究極の映画ベスト100/淀川長治

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淀川長治 究極の映画ベスト100   淀川 長治 (著), 岡田 喜一郎 (編集) (河出文庫)
 
もともと「淀川長治 映画ベスト1000」という書籍があり、

 

編者がそのなかから100本を選んでこの「淀川長治 究極の映画ベスト100」という文庫にした。

 

「映画に順序をつけるなんて、そんなバカな事はおやめなさい。」

 

と淀川は編集者に言っていたのだが、最晩年を迎えていた彼は結局は任せることにしたようだ。

 

100本を選んだのは淀川長治ではないことを、彼の名誉のために記したい。

 

また、編集者は、1950年代の作品が多くなりすぎたので、

 

年代ごとに偏りがなくなるように、編んでいったというが、

 

その考え方は、情けないくらいに意味のないことである。

 

たとえば、1950年代と90年代の映画、その作品数と濃縮度は雲泥の差なのに、

 

18本(うち日本映画3本)と12本をそれぞれ選んでいる。

 

50年代を30本、90年代を5本でもまだアンバランスなくらいだと思う。

 

天井桟敷の人々」が入っていないなんて、天国で淀川は怒っているのではないか。


ともあれ、先に紹介した双葉十三郎のベスト109とは一味違ったベスト100である。


私の映画の大先生である、淀川長治

 

彼も映画誌「スクリーン」に自分のページを持っていた。

 

一か月間の日誌のような文章のなかに、短くて鋭い筆致で試写会の感想をよく書いていた。

 

ペンを持つと、日曜洋画劇場で、

 

ニコニコと何でも褒めまくる彼とは一味違った大先生だった。


この暫定ベスト100より、点数も順位付けもないベスト1000の、

 

彼の批評をじっくり読むべきかもしれない。


1920年代以前
イントレランス/D・W・グリフィス
散り行く花/D・W・グリフィス

■1920年代
キッド/チャールズ・チャップリン
愚なる妻/エーリッヒ・フォン・シュトロハイム
十誡セシル・B・デミル
ロイドの要心無用サム・テイラーフレッド・ニューメイヤー
黄金狂時代/チャールズ・チャップリン
キートンのセブン・チャンス/バスター・キートン
戦艦ポチョムキンセルゲイ・エイゼンシュテイン
メトロポリスフリッツ・ラング

■1930年代
嘆きの天使/ジョゼフ・フォン・スタンバーグ
自由を我等に/ルネ・クレール
街の灯/チャップリン
雨/ルイス・マイルストン
グランド・ホテル/エドマンド・グルーディング
或る夜の出来事フランク・キャプラ
大いなる幻影ジャン・ルノワール
駅馬車ジョン・フォード
風と共に去りぬヴィクター・フレミング
邂逅(めぐりあい)/レオ・マッケリー

■1940年代
独裁者/チャールズ・チャップリン
果てなき船路/ジョン・フォード
レベッカアルフレッド・ヒッチコック
市民ケーンオーソン・ウェルズ
疑惑の影/アルフレッド・ヒッチコック
我が道を往く/レオ・マッケリー
荒野の決闘ジョン・フォード
美女と野獣ジャン・コクトー
赤い靴/エメリック・プレスバーガーマイケル・パーカー
自転車泥棒ヴィットリオ・デ・シーカ
ママの想い出/ジョージ・スティーヴンス
第三の男/キャロル・リード

■1950年代
サンセット大通りビリー・ワイルダー
羅生門黒澤明
河/ジャン・ルノワール
恐怖の報酬/アンリ・ジョルジュ・クルーゾー
禁じられた遊びルネ・クレマン
西鶴一代女溝口健二
ライム・ライト/チャールズ・チャップリン
シェーン/ジョージ・スティーヴンス
終着駅/ヴィットリオ・デ・シーカ
七人の侍黒澤明
夏の嵐/ルキノ・ヴィスコンティ
道/フェデリコ・フェリーニ
エデンの東エリア・カザン
旅情/デヴィッド・リーン
死刑台のエレベータールイ・マル
戦場にかける橋/デヴィッド・リーン
大いなる西部/ウィリアム・ワイラー
大人は判ってくれないフランソワ・トリュフォー

■1960年代
甘い生活フェデリコ・フェリーニ
処女の泉/ベルイマン
太陽がいっぱいルネ・クレマン
かくも長き不在/アンリ・コルピ
素晴らしい風船旅行/アルベール・ラモリスエストサイド物語/ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンス
突然炎のごとくフランソワ・トリュフォー
アラビアのロレンスデヴィッド・リーン
奇跡の人/アーサー・ペン
鳥/アルフレッド・ヒッチコック
野の百合/ラルフ・ネルソン
コレクター/ウィリアム・ワイラー
アポロンの地獄/ピエル・パオロ・パゾリーニ
暗くなるまで待って/テレンス・ヤング
2001年宇宙の旅/スタンリー・キューブリック

■1970年代
ジョニーは戦場へ行った/ドルトン・トランボ
ベニスに死す/ルキノ・ヴィスコンティ
ゴッドファーザーフランシス・フォード・コッポラ
ポセイドン・アドベンチャーロナルド・ニーム
スケアクロウジェリー・シャッツバーグ
家族の肖像/ルキノ・ヴィスコンティ
ザッツ・エンタテイメント/ジャック・ヘイリー・ジュニア
ジョーズスティーブン・スピルバーグ
アニー・ホールウッディ・アレン
ブリキの太鼓フォルカー・シュレンドルフ

■1980年代
ディーバ/ジャン・ジャック・ベネックス
アマデウスミロス・フォアマン
カオス・シチリア物語/パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ
冬冬の夏休み/ホウ・シャオシエン
カイロの紫のバラウッディ・アレン
グッドモーニング・バビロン!/パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ
ザ・デッド 「ダブリン市民」より/ジョン・ヒューストン
八月の鯨リンゼイ・アンダーソン
ラスト・エンペラー/ベルナルド・ベルトルッチ
霧の中の風景テオ・アンゲロプロス
コックと泥棒、その妻と愛人/ピーター・グリーナウェイ
ニュー・シネマ・パラダイスジュゼッペ・トルナトーレ
フィールド・オブ・ドリームスフィル・アルデン・ロビンソン

■1990年代
髪結いの亭主パトリス・ルコント
シェルタリング・スカイベルナルド・ベルトルッチ
シザー・ハンズ/ティム・バートン
アダムス・ファミリーバリー・ソネンフェルド
テルマ&ルイーズリドリー・スコット
さらば、わが愛 覇王別姫チェン・カイコー
ナイトメアー・ビフォア・クリスマス/ヘンリー・セレック
ピアノ・レッスンジェーン・カンピオン
日の名残りジェームズ・アイヴォリー
オリーブの林をぬけてアッバス・キアロスタミ
スモーク/ウェイン・ワン
キッズ・リターン北野武