遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

大相撲八百長事件と協会立てなおし

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長い大相撲の歴史で、明確に八百長が発覚したのは、

今回が初めてなのではなかろうか。

無気力相撲」などと称してお茶を濁してきた協会は、

抜本的な見直しが迫られるであろう。


まずは、力士の給料・手当ての見直しをはかるべきである。

年6場所をすべて出場できたとして、各階級ごとの基本給・手当ての合計は以下のとおりである。

横綱→約4500万円

大関→約3700万円

三役(関脇・小結)→約2600万円

平幕→約2000万円

十両→約1600万円

幕下→90万円

三段目→60万円

序二段→48万円

序ノ口→42万円


十両以上の力士は、関取と呼ばれて付き人がついて、

年1600万円以上の高額の基本給がもらえる。

加えて、幕の内の優勝賞金は1000万円、十両優勝の賞金は200万円である。

これに対して、十両以下の力士たちは、関取の付き人として世話をやいて、

年90万円以下の年収に甘んじているのである。

これなら、一度十両に昇進した力士は、

なんとしてでも十両以上にとどまることを目指すだろう。

年収1600万円の十両ヘブンの板子一枚下は、

年収90万円で上位力士の世話係という地獄が、存在するのである。


普通だと一生懸命稽古をしてその地位を維持し、上位を狙っていくのだが、

普通でない力士は、八百長でその地位に居続けようとするのだろう。

十両を落ちそうな力士が、それを免れるために八百長をやる。

これでは、幕下の力士が上がっていけないではないか。


いま、協会は幕下力士のためにも抜本改革をすべきであろう。

いくら三食昼寝付きだといっても、幕下の力士にも給料をもっと拡大して、

年収の格差を縮めるべきだと思う。

いまの著しい給与格差を廃して、階級を落としても生活できるために、

基本給で、幕下以下の力士のある程度の生活安定をはかってやるべきだろう。


日本人力士の裾野を広げて、外国人力士の枠を広げて、

もっとスリリングな真剣勝負を繰り広げる大相撲に戻ってほしいものである。

その他、もっとスピーディーな取組や、桟敷席の改良や椅子席へのシフト、

入場料の値下げとスポンサーや広告主の取り込みなど、

これから先細りになりそうな経営体質の改善も、この機会に一緒に行なうべきだろう。

大相撲出身者以外の、外部の血を導入することを考えない排他的な経営陣は、

さっさと退陣して、近代的な経営体質にして、古典的スポーツを維持していくべきだと思う。


しばらくは、協会の改革をじっと見守りたい。