雨の日も風の日も、朝、いつも同じところに、
「THE BIG ISSUE」と書いたファイルを掲げている人がいます。
はじめは、サンドイッチマンのようなオジサンだと思っていました。
でも、少しようすが違うので、「THE BIG ISSUE」をネット検索してみようと、
思いつつ、いつも忘れてしまって、
また次の朝、いつもと同じ場所でオジサンに出会うのです。
そんなおり、2週間ほど前に、朝日新聞のサイトで、
「ビッグ・イシュー日本 7年」という文字が、目に飛び込んできました。
おおーッという感じでビッグ・イシューのことを思い出し、
すぐさま「ビッグ・イシュー日本」のサイトを検索し行き当たったのでありました。
ビッグイシューは1991年にロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊されました。ホームレスの人の救済(チャリティ)ではなく、仕事を提供し自立を応援する事業です。 例えば大阪では野宿生活者の約8割が働いており、過半数の人は仕事をして自立したいと思っています。『ビッグイシュー日本版』は働き収入を得る機会を提供します。
ホームレスの人たちが自立するための事業として、
応募したホームレスは、月2回発行の雑誌を街頭で販売します。
私が毎日目にしていたオジサンは、その雑誌を売るホームレスだったのです。
ビッグ・イシューは、一冊300円で、ホームレスはこれを140円で仕入れています。
で、街頭で現金で販売し、160円が販売したホームレスに入るという仕組みになっています。
そこで私も、刊行7年目にして、最新号をはじめて購入したわけであります。
A4の大きさですが、表紙まで含めて32頁の薄い雑誌です。
仕入れ値140円とはっきり分っていますし、
300円が高いか安いかは、微妙なところかもしれません。
最新号の内容 ■リレーインタビュー 私の分岐点 ― 俳優 三上 博史さん ■スペシャルインタビュー ― シャキーラ ■ストリート・エコノミックス 浜矩子 世紀と世紀のはざまで ― ご苦労さまな中国経済 ■治療の場は太陽の光ふりそそぐ森林の中 ■空き家、捨てられた食べ物や服は巨大な資源 ■ノーンギシュの日々 滝田 明日香 跡犬ユニット。期待になう子犬"アナ"その1 ■WORLD STREET NEWS 世界短信 ■特集 クジラと日本人 - 沿岸捕鯨を守りたい 今こそ議論を! ! 「日本人は本当にクジラを食べたいのか」 ─ 小島 孝夫さん (コラム)先住民生存捕鯨 獲る、ばらす、流通、加工、食べ方。 房州の夏の「鯨食」をパッケージで残したい ─ 庄司 義則さん 400年前、生きていく糧を海とクジラに求めた ─ 北 洋司さん (エッセイ)調査としても失敗。イメージ低下、信用喪失の"調査捕鯨" ─ 米本 昌平 ■世界の当事者になる 雨宮 処凛 「のんき」を復権させたい ■自閉症の僕が「生きていく風景」 東田 直樹 話せなかった頃、僕は透明人間のようだった ■世界・アジア・日本 大豆 ■CDレビュー 浅井 博章 19歳メジャーデビュー、注目の大型新人アーティスト3組 ■クリエーターの視点 美術家 池田学さん ■テレビうらおもて 伊藤 悟 「タンブリング」、さりげなくドラマに登場した高校生ゲイ ■ひぐらし本暮らし 岡崎 武志 ル・クレジオ/豊崎光一・佐藤領時訳 『海を見たことがなかった少年』 ■コミック マムアンちゃん ― ウィスット・ポンニミット ■YOUR ISSUE ― あなたのオピニオン ■FROM THE STREET ― 街角と販売者 ■ホームレス人生相談 人込みが苦手です ■コミック エモ!言われん 雨のせいだもん… ■路上から ■今月の人 演歌で鍛えた歌声、街角に響かせて。 ■FROM EDITORIAL 編集後記
頁数は少ないけれど、裏表紙以外には広告はありませんし、
長短はありますが、個々の読み物のクオリティは高く、
話題の配分は、よくバランスが取れたものだと思います。
全ページカラーですし、掲載されているイラストや写真のセンスもいいですし、
たとえば、最新号ですと、池田学の細密画も紙面を大きく取って、
たっぷり見せてくれています。
街頭で販売員を目にされたら、ためしに一度買って読んでみてください。