遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

フロンティア精神とコソ泥宰相

イメージ 1

上の写真は、シカゴのオヘア空港でのワンショットだそうです。

トランプの大統領令により、空港で入国拒否された18人を救うために、急きょ臨時オフィスを立ち上げた弁護士たちの姿です。この写真を見た英国の難民支援団体の女性(Lliana Birdさん)がツイートしました。

■Lliana Bird@LlianaBird
Kids - this is what heroes really look like(子どもたち、真の英雄とはこういう人たちのことをいうのよ)

米国では、ジョージ・オーウェルの「1984年」がベストセラーになっているという。日本のAmazonでも、外国文学でいまベストセラー1位にランクされている。

「1948年」は、「ビッグ・ブラザー」という指導者が統治する暗黒社会を描いたディストピア(反ユートピア)小説で、ビッグ・ブラザーはメディアを完全にコントロールし、洗脳された国民は監視され弾圧されるという物語。(私は2009年に出た新版を当時購読した。)

もちろんこれらはフィクションだが、ビッグ・ブラザーのモデルはスターリンだと容易に想像がつく。しかし、2017年の今、ビッグ・ブラザーは一人ではない。

NYタイムスに社説で批判されると、トランプは、NYTなど買収されるか廃刊になればいいのだと敵愾心をあらわにしたと、朝日デジタルは伝えている。http://digital.asahi.com/articles/ASK1Z2VW4K1ZUHBI00G.html

がしかし、米国メディアは日本のそれのようにヘタレではないし、司法当局も大統領令に独立した立場で対峙しているし、写真のシカゴの空港での弁護士たちの正義も、とどまるところを知らない反トランプの街頭デモも、フロンティア・スピリットの鑑のようだ。

また、新政権に就いた阿呆な指導者たちは、逃げ隠れせずに堂々とバカをさらけ出しているところも、フロンティア精神満載の潔さである。

米国のどちらの陣営も、正々堂々と主張して「顔」が見えているところが、まるで、質の良いハリウッド映画を観ているような気にさえなる。この上質さが、日本の事情と少し違うところである。

日本は、暗くなってから現れる、追いはぎやコソ泥並みの顔の良く見えないつもりのビッグ・ブラザーがいて、こそこそねちねちとメディアや司法を統制し続けている。
「顔」は見えないが尻は丸出しのビッグダディー的首相と官邸と官僚なのだ。同じ阿呆でも、潔さにおいてだけ安倍政権とトランプは性質が違うのである。

どちらも醜いが、トランプの顔を隠さないフロンティア精神の方が、まだしも高貴である。高貴と言っても、シカゴ空港にいる弁護士たちの高貴さの100万分の1くらいしかないのだけど。

で、そのまったく高貴でない安倍が100万分の1高貴なトランプに会いに行く。
おそらく真実は表に出てこない「二国間協議」でずたずたにされて帰って来ることは間違いないだろう。それでも、「ぼく頑張ってきたよ」とどや顔で帰って来るのだろうな。