サント=ヴィクトワール山 ポール・セザンヌ 1887-1890年
はじめて本物のセザンヌの絵に出会ったのは、
働き始めて、キャンバスに油絵風にリアルに印刷された絵画を購入したのも、
74年のセザンヌ展でも、サント・ヴィクトワール山の絵はあった。
彼は故郷の南仏で、この山を生涯に60点描いたという。
当時この絵が展示されたのかはよく憶えていないが、
今回オルセー美術館展で、来日した1枚である。
神戸展で、この絵の前でもしばらく足を止める人が多くいた。
色のついたセロファン紙をパッチワークのように張り合わせたような、
セザンヌの風景画の、柔らかな透き通った独特のタッチは他に類を見ない。
この絵の遠景にも、その美しい特徴が見て取れる。
私の大好きな1枚である。
もうすぐ開催される、東京でのオルセー美術館展でしかと確かめられたい。