遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

マンシーの橋/セザンヌ

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ポール・セザンヌ作 『マンシーの橋』 (1879年頃 60×73cm オルセー美術館


60歳を前に油絵を始めて、目下セザンヌのとある作品を模写している最中です。

私が19歳のとき、京都市美術館セザンヌ展に出会って以来もっとも尊敬する画家の一人なのですが、
恐れ多くもセザンヌ先生の作品模写をしてみて、先生の偉大さに改めて感銘を受けたしだいです。

ご覧の絵は「マンシーの橋」。
20号(60×73cm)キャンバスに描かれた、あまり大きな作品ではありません。
オルセー美術館にあるようで、私は本物を見ているはずですが記憶にありません。
それはともかく、この色彩感覚に胸を打たれます。

画像をクリックすると作品が拡大されますが、セザンヌのタッチ(筆跡)が手に取るようにわかります。
一見無造作に大胆に色を置いているように見えますが、作品としては実に緻密な完成度を示しています。

緑の森は緑だけで描くのではないというお手本がここにあり、実に多くの色が森を構成しています。
私はこの絵を模写しているわけではありませんが、
模写を通してセザンヌの作品をじっくり隅から隅まで観察してみると、その色彩感覚に愕然としてしまいます。

当然のことですが、巨匠になるにはそれなりに理由があるもので、
この作品はそのことを証明していて余りあるものであります。

いままで絵画鑑賞をしてきて、いったい何を見てきたのかといまごろになって反省しています。
でも、油彩画を始めて作品や作家を見る目が変わってきたことは大きな収穫かもしれません。