遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

「虎に翼」寅子の家族会議←朝ドラが繰り返し描く戦争悲劇とそこからの再生

朝ドラ「虎に翼」、寅子は夫や兄を戦争で亡くし、まもなく戦争が終わり日本国憲法が公布され、戦後民主主義の時代に足を踏み入れたところに差し掛かりました。

上は、その日本国憲法全文が掲載された新聞を読む寅子です。

新しい憲法を読んで世の中が変わったと感じた寅子は家族会議を開いて、日本憲法のもと「自由に生きよ」と弟に告げました。

その家族会議の冒頭で、寅子は憲法十三条と第十四条を読み上げます。

〔個人の尊重と公共の福祉〕
十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

〔平等原則、貴族制度の否認及び栄典の限界〕
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

彼女はその後、裁判官の道を歩み始めます。

報道機関としては地に落ちたNHK(政治的偏りがありその姿勢はまさに憲法に反するもの)ですが、時々私はこういう朝ドラのシーンに胸が熱くなります。

NHKの朝ドラは実在の人物を主人公のモデルに据えると太平洋戦争を避けて通れないところがあり、そのたびに心を痛めたり勇気をもらったりします。

最近の朝ドラでは「ブギウギ」(笠置シズ子)「らんまん」(牧野富太郎)「カムカムエヴリバディ」(平川唯一)「おちょやん」(浪花千栄子)などがそれに該当します。

主人公の周りの人が戦死して、そのたびに主人公や生き残った女性たちが慟哭するシーンを悲しい心で見なければならないのですが、そのたびに「戦争は繰り返してはいけない」「二度と日本は戦争をしてはならない」という思いが日本中に浸透していくことに安心もするしだいです。

「虎に翼」の寅子の夫は、「戦病死」のケースでした。
日本の太平洋戦争における戦没者約300万人、軍人の戦没者は約210万人でしたが、その大半は餓死や伝染病による病死だったようです。武器を携えて戦地に行って餓死したり病死したりする作戦が、愚かな太平洋戦争の作戦だったようです。

当時の軍事政権の愚かさが今の自公政権の愚かさと酷似しているところが、日本の悲劇が終わらないことを表しています。

今の日本は、「虎に翼」の主人公のような立派な女性が増えてきたことも実感できますのでそれはそれで明るい未来が見えてくるような気もします。

来年で戦後80年ですが、節目の時なのかもしれません。

 

寅子が読んで涙した「日本国憲法