遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

第82期名人戦第1局は、藤井名人の勝利確率12%からの大逆転勝利でした

第82期の将棋名人戦の第1局が、4月10日から11日にかけて行われ、藤井聡太名人(21)が辛くも勝利しました。

藤井名人に挑戦しているのがラスボス的存在の豊島将之九段(33)で、名人戦に相応しい両者の七番勝負になりました。

藤井聡太は、デビュー後29連勝であっというまに将棋界の至宝となりましたが、その後2017年から2020年までに豊島将之に6連敗する時期が続いていました。

その後対戦成績は逆転し、昨日の一戦を含めて藤井の23勝11敗にまで開いてきましたが、デビュー後6連敗した棋士として同じ愛知出身の棋士として、豊島相手に普段通りの戦いを繰り広げられるか、対局前から注目していました。

名人戦の第1局は後手番の豊島の作戦が功を奏し、1日目から見たことのない展開に藤井を引きずり込み苦しめている様子でしたが、勝敗確率は50%均衡を保っていました。

2日目の夕方の休憩以降、豊島がじりじりと差を広げる展開になり、121手目の段階でのAIによる勝利確率は豊島に大きく傾いていて(朝日新聞で88%、Abemaで76%)藤井が先手なのに負けスタートになり、この後続く7番勝負は苦しくなってくるな、と思いながら戦況を見ていました。

ところが、豊島が124手目に2秒くらいのほぼノータイムで指した4四香車を境に、局面は一気に藤井に傾いてしまい、141手で藤井の勝利となりました。

圧倒的優勢になり、持ち時間も17分も残していたのに、豊島がノータイムで指した手がほぼ互角にまで戻ってしまい、それ以降は一気に藤井優勢になってしまいました。

これまでにも、こういう逆転劇はしばしば目にしてきましたが、豊島の一手は魔がさしたとしか言いようのないものでした。

対局後、もっと慎重に指すべきだったと深く反省していましたが、あまり時間を使って指すと残り時間の少ない相手(このとき藤井の残り時間は4分)に考える時間を与えてしまうことにもあり、豊島にすれば自然な一手をノータイムで指したつもりだったと思います。

ということで、先手の藤井にすれば結果は予定通りだったかと思いますが、内容はいま一つだったようですし、豊島も次は先手番で新たな作戦を考えてくると思われますので、いまから楽しみであります。

第2局は4月23・24日に成田山新勝寺で行われます。

121手目 勝利確率 藤井12% 豊島88

123手目 勝利確率 藤井44% 豊島56

124手目 勝利確率 藤井50% 豊島50

125手目 勝利確率 藤井54% 豊島46

127手目 勝利確率 藤井80% 豊島20