遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

国立大学法人法の改正が日本沈没につながる!

一部の大規模な国立大学に、運営方針の決定などを行う合議体の設置を義務づける、国立大学法人法の改正案が17日、衆院文部科学委員会で採決され、賛成多数で可決されました。

「学長の上に立つ最高意思決定機関が設置される。まさに大学の自治を脅かすことになる」と大学関係者から強い反対の声が上がっています。

国立大学法人法の改正案は、大学の運営について学長の上に位置する機関「運営方針会議」を設置することを義務付けするものです。「運営方針会議」は、学外の有識者3人以上の委員と学長で構成することが定められています。

となると、大学を代表する学長が考える運営方針を、学外の有識者が妨害する可能性があるトンデモ法案に改正されます。

大学の持つ有形無形の資産、つまり学者や学生の知的財産権と大学が整えて管理し整備してきた実験装置やさまざまな設備や研究室や演習林などの広大な土地利用について、外部識者が「儲け主義」を注入し悪利用する可能性があります。

たとえ国立大学とは言え、政権政府や財界が大学を通じて儲け主義により稼げる大学に変貌させることは、お国のためにならない暴挙ではないでしょうか。

政教分離とは「政治と宗教」の分離のことですが、「政治と教育」についても一定の距離を置くべきだと思料します。とりわけ、政治の行き過ぎについて「それはちょっと感心しませんね」と学者たちに言われて襟を正すことも健全な国づくりに必要不可欠な関係性だと思います。

「戦争に加担するような研究は致しません」という学術会議の姿勢は、平和憲法のもとにある教育機関としては自然なことですし、先の大戦での敗戦と他国への侵略について二度とそれを繰り返さないとする立場に学術会議が立たないでどうするのかという問題です。

しかし、戦争に反対する学者が国立大学に存在することに、頭の悪い政治家たちは我慢がならないようです。とくに、文系の学者たちの反戦思想や反政府的立場に腹が立つようで、「奴らは政治家を馬鹿にしている、下に見ている」と思っているようです。

それが顕著に表れた例が、頭の悪い首相とその取り巻きがワンサカいた菅政権時に起きた学術会議任命拒否事件でした。

今回の国立大学法人法の改正と、学術会議の任命に関する「NGリスト」は表裏一体の感が否めません。

政府は、知識階層や学者組織を政治的支配下に置き、政治家や官僚の思いのままに動かしたいというおぞましい考えで、教育の自由な発想を押しつぶそうとしています

政府より賢い人間は潰したいのでしょうが、それは日本国を沈めてしまう愚かな発想だというほかありません。