遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

現段階では合格点でしょう/ジャニーズ事務所謝罪会見

9月7日のジャニーズ事務所会見、Youtubeで会見のライブ配信の予告サムネイルに遭遇したので、CSのTBSニュースバードのライブ放送で最後まで見ました。

ジャニー喜多川による性加害謝罪会見は、すべての出席者の質問に答えた4時間にわたる長いもので、とても内容のある立派なものだったと思います。くだらない官邸記者会見や国会答弁に慣れた身としては、少なくともジャニーズ側の真摯な態度は好感が持てました。

事務所の新体制は10月1日からで、9月5日の取締役会議で社長の退任と新社長の就任が了承されたという段階での謝罪会見でしたが、出席した新社長の東山紀之、前社長の藤島ジュリー、子会社ジャニーズアイランド社長の井ノ原快彦(イノッチ)の再発防止委員会の提言を受ける形での決意表明は「現段階では」という条件付きですが、十分だったと認められるものでした。

東山が記者会見場で静かに吐いた「人類史上最も愚かな事件」「(ジャニー)のやっていることは鬼畜の所業。いまはもう(ジャニーへの)愛情はほとんどありません」「この場に彼がいるべきで、みなさんからの質問を彼が受けるべきだった」というある種すごい言葉を視聴者や記者たちはどのような気持ちで聴いていたのだろうと思います。

イノッチも、彼の表情から「嘘」は発見できなかったので、多くの質問に真摯に答えていたと評価できます。とりわけ、まだ放送局に根付いている「ジャニーズ事務所への忖度」などについては、ずっと「なんで?」「まだ引きずっているの?」と思っていたようで、東山とともに事務所経営について改革の必要性を示したことが評価できると感じました。

藤島ジュリー社長は、お花畑の中にいた人だったようで、単独で昨日のような記者会見に耐えられるお方ではないようでした。良くも悪しくもジャニーとメリーの2トップで事務所は運営されていたことが、昨日の藤島ジュリーの言葉ではかり知ることができました。彼女は、被害者の保証が終われば経営から離れる意思があることも表明していたので、今後のかじ取りを新社長に託した安堵感さえ漂っていたように感じました。

会見場の記者たちは、逃げまくる事務所に対して追いかける姿勢で質疑に臨んだかもしれませんが、まだはっきり具体的なことは示せない段階であるにもかかわらず、「性加害はあった、認める」「芸能界を引退して事態にあたる(東山)」「被害者の補償は法を超えてやる」「業界の事務所への忖度も取り除く」「分け隔てなく取材を受ける」などなど、あまりにも事務所側が立派な姿勢を示したので少しあてが外れたかもしれません。

東山も井ノ原もジャニーズのタレントにして報道や情報番組の司会というキャリアなどを通して、「自分の言葉」「世間の道理」を持って物事に対処できる能力はあると私は見ましたし、これほど世間が注目している世紀の記者会見で「言いぱなし」のダサい所業は彼らの辞書にはないように感じました。

ということで、ジャニーズ事務所は社名を変更して、東山と井ノ原と招聘した清潔な外部取締役たちで、幸せな話題を提供できる朗らかで清潔な芸能界にするために奮闘努力していただきたいと強く思います。

芸能記者たちは、他の妖しくていけない所業の芸能事務所があればそちらの方にも追及の矛先を向けるようにお願いしたい。政治記者と同じく、世直しの一翼はあなたたちが担っているのですから、よろしくお願いしたいと思うきょうこの頃であります。

newsdig.tbs.co.jp