遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ジャニーズ事務所の「再発防止特別チーム」の報告書は上質なものでした

ジャニー喜多川の性加害問題に関してジャニーズ事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」の報告書は、その内容やチームの記者会見について、質の高い調査結果であったとメディアは一様に評価できるものだったとしています。

www.tokyo-np.co.jp

www.johnny-associates.co.jp

ジャニー喜多川による性加害行為は1950年代から始まり、ジャニーズ事務所では1970頃から2010年代半ばまで継続していました。その間にジャニーズ事務所は主に所属タレントである被害者の保護をや加害の調査をしてこなかったとして、特別チームはジュリー藤島社長の辞任を求めました。

記者会見で、元検事総長の林眞琴氏がジャニー喜多川の性加害について具体的にどのような行為をしていたかを述べるシーンがあったのですが、それは何とも言いようのない哀しい言葉の羅列で、あれが世界中に配信されたと思うとわが国の屈辱的な恥部をさらすことになったのだなと忸怩たる思いを抱きました。

オーナー社長からセクハラやパワハラを受けても出世街道を歩いていくためにじっとがまんしただろうかと考えてみると、私は我慢できなくて、即座に逃げ出したり、場合によってはひと騒動起こすタイプだったと思います。

でも、まだ若いときに誰かに相談できただろうかと考えると、被害に遭った子どもたちの孤立した絶望は想像を絶するものです。40歳を越えてもなおトラウマを引きずっていて、国連の調査チームの記者会見を聴いて嗚咽する彼らを見ていても、そのことが想像できます。

イヤなバカ上司とは数々付き合ってきましたが、幸いにも私の働いていた企業は同族会社でなかったし労働組合もあったので、なんとか定年まであまり我慢することなく働き通せました。

かつて久米宏が「自分の就活の時にオーナー企業(同族会社)だけは絶対に避けていた」と言っていましたが、たしかに嫌な上司やトップが同族である場合は相当痛い目に遭うこともままあるだろうなと思います。ビッグモーターがそのよい事例ですし、その他にも枚挙にいとまがないものであります。

日本の近代化の闇は、「男の下半身」「声の大きさ」をめぐるものが多くの部分を占めていると思いますがいかがでしょうか。それは仕方がない部分もあると、前近代的な時代には通用したかもしれませんが、戦後民主主義の時代になってもこの闇の部分は延々と闇のまま今日まで来てしまいました。

双方が認め合った恋愛などは自由で許容できると思いますが、強制は断じて許されるものではありません。ジャニーズ事務所やビッグモーターのセクハラやパワハラだけが問題でもないのではないでしょうか。ジャニーズ事件が日本の真の近代化のきっかけになることを願ってやみません。(いままだここか?)