遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

傷ついた「硝子の少年」たち/ジャニーズ事務所は解散せよ、バイバイ!

 

山下達郎が炎上。始まりはこのツイートでした。

松尾潔@kiyoshimatsuo
15年間在籍したスマイルカンパニーとのマネージメント契約が中途で終了になりました。私がメディアでジャニーズ事務所藤島ジュリー景子社長に言及したのが理由です。私をスマイルに誘ってくださった山下達郎さんも会社方針に賛成とのこと、残念です。今までのサポートに感謝します。バイバイ!

恥ずかしながら松尾潔というお方のことは全く知らなかったのですが、「ジャニーズ事務所藤島ジュリー景子社長に言及」したことで契約解除されたということは、「ジャニーズ事務所藤島ジュリー景子社長の一方的なお詫びビデオメッセージだけで、ジャニー喜多川問題はこれで終わりにしますとするのはどうなんでしょう?」みたいなまっとうなことをどこかに書いて、制裁を受けた形になったようです。

スマイルカンパニーというのは、約40年前に山下達郎と彼のレコード会社で担当ディレクターだった小杉理宇造が立ち上げた音楽・マネジメント事務所で、山下は事実上の代表者だと思われます。スマイルカンパニーという社名は、ビーチボーイズの幻のアルバム「スマイル」から取られた社名だそうで、「ビーチ・ボーイズマニア」で有名な山下に由来した命名だということことからも、この事務所の事実上の代表は山下達郎だということがうかがえます。

なので、松尾潔が長年マネジメント契約を結んでいたにもかかわらず、一方的に契約を解除されたということは、山下に切られたという思いが強いのだと思います。たぶん、それは事実なんだろうと思います。

山下が自身のラジオ番組で言うには、松尾潔からスマイルカンパニーは顧問料をもらっていたようです。要するに「私、松尾潔山下達郎の折り紙付き(後ろ盾)で音楽活動をしています」というのはなかなかのステイタスでしょうから、松尾はそのブランド使用料を顧問料として支払っていたのでしょう。そのブランド力と松尾自身の実力もあって、立派な音楽活動をしているようです。

芸能事務所や音楽事務所は、誤解を恐れずに言うと、人材派遣業にも似たピンハネ会社ですから、松尾潔のような人材を多く抱えて彼らの生み出す収益を「かすめ取った」源泉で事務所幹部は豊かな暮らしをしているわけですが、他の事務所との連携や提携も大きな源泉になるわけです。今回スマイルは、松尾潔ジャニーズ事務所を天秤にかけて、松尾を棄てた形になったようです。

山下達郎竹内まりやの清潔感のある清々しい音楽が大好きな人たちは多く存在すると思いますが、今回の問題はかなり不潔な下品な感じがします。長年事務所に貢献してきた契約関係にあるひとかどの人物の「切り捨て方」があまりにも酷くて、ビジネスライクという地点にも到達していません。

そしてもっとも重要な問題は、「今問題になっている故ジャニー喜多川の行為」を、松尾潔を冷たく切ったことで事実上容認してしまったことにあると思います。まだしも、ジャニーズ事務所との付き合いを時間をかけてフェードアウトしていけばいいものを、山下達郎は世の中が見えない70歳のただの爺さんになり下がったようです。

松尾潔も、自身の契約解除よりも、ジャニー事務所にまだついていくの?という不信感の方が大きかったのではないでしょうか。

KinKi Kids(キンキ)が好きだったうちの娘たちは、山下達郎の作曲したキンキの曲を聴いて歌って大きくなってきました。しかし、キンキのようになれずに傷ついてジャニーズ事務所を去った多くの少年たちのことを思うと、夢も希望もない日本の芸能界という気持ちになってしまいます。

山下達郎が作曲した「硝子の少年」というキンキのデビュー曲のタイトルに何か象徴的なものを感じますが、もう解散するしか後のないガラス細工のようなジャニーズ事務所にもう希望も夢もないのです。バイバイ!

 

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