遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

「君たちはどう生きるか」のヒントがたくさん詰まった雑誌「世界」8月号

岩波書店の「世界」編集部の公式Twitterアカウントが凍結され、話題になっています。

雑誌「世界」は、1945年に創刊された岩波書店総合雑誌で、初代編集長はあの「君たちはどう生きるか」(岩波文庫で最も売れている本)の著者である吉野源三郎でした。

最新号である2023年8月号の「世界」は、特集が「安倍政治の決算」だったことからツイッタージャパン社に何らかの圧力があったのか、監視アルゴリズムが何かを察知したのかよく分かりませんが、とにかく「世界」編集部にとっては原因不明の不可解な凍結状態になっています。

「世界」8月号の表紙は、葬儀の時の写真なのでしょうか安倍晋三の遺影が大きく映っているもので、死後1年を経た興味ある特集のようです。
 

digital.asahi.com

Amazonをはじめネット書店をはじめ、書店でも当の「世界」8月号は品切れになったようで、アカウントの凍結された話題が影響して雑誌が品切れになったのでしょう。

岩波書店によりますと「『世界』2023年8月号につきまして、現在品薄のためご迷惑をお掛けしております。読者の皆さまからの多くのご要望を受け、急遽、本号の増刷を決定いたしました。7月末に重版出来(小社出庫)予定です。」と、増刷することを公式に伝えています。

なお、8月号の内容はこの記事末尾に「目次」をそのまま載せましたのでご参照ください。

「安倍政治の決算」以外にも面白い記事がたくさんあって、「G7首脳は広島で何を失ったか──深刻化する核カオス」「「次元の異なる少子化対策」を解きほぐす──より深い議論のために」「悪しき因習を変えるために──ジャニーズ性加害問題から見えてくるもの」「父はなぜ、ルーツを「語れなかった」か──SNSヘイトスピーチ裁判を経て」などなど、ぜひ読んでいただきたい特集が満載です。

ということで、君たちはどう生きるか」のヒントがたくさん詰まった雑誌「世界」8月号のお知らせでした。

 

「世界」8月号目次(抜粋)

┃特集 ┃安倍政治の決算
┗━━━╋…────────────────────────────────
〈最も危険な企て〉
始源について 石川健治東京大学
〈対談〉
岸田政権は安倍政権の呪縛を解けるか  後藤謙次(ジャーナリスト)×牧原 出(東京大学
〈思想的検証〉
安倍晋三と「愛国心」 将基面貴巳(オタゴ大学)
〈30年の研究から〉
統一教会問題──宗教リテラシー歴史認識の貧困がもたらしたもの 櫻井義秀(北海道大学
〈コネクションの経済〉
長く延びる影  重田園江(明治大学
〈抜け出せないアポリア
官製歴史修正主義──安倍政権の大願成就  倉橋耕平(創価大学
〈日本の病根〉 
醒めてはならない夢──日本経済史のなかのアベノミクス  武田晴人東京大学名誉教授)
〈「憲法の番人」の責務〉
それでも安保法制は違憲である 長谷部恭男(早稲田大学
〈民意の蹂躙〉
美しい国」の琉球処分──安倍政権と沖縄  豊田祐基子(ロイター)
〈40年史のなかで〉
「子どもの貧困」がもたらした政策転換──安倍政権下で児童扶養手当はいかに拡充されたか 田宮遊子神戸学院大学
〈日韓の新たなステージ〉
封印された歴史──韓国から見た安倍政治  南基正(ソウル大学
〈二重の要求〉
「すべての女性が輝く社会」の実像 皆川満寿美中央学院大学
〈公正な社会へ〉
奪われた未来──「性」をめぐり、止められた時間 松岡宗嗣(一般社団法人fair代表理事
〈政治をわたしたちのものに〉
若者の安倍政権支持? 能條桃子(NO YOUTH NO JAPAN代表理事

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◆注目記事
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〈報道の在り方〉
メディアの「罪と罰」第4回(最終回)──「空前絶後」の朝日新聞編集局長  松本一弥(ジャーナリスト)
〈戦争を理解する〉
壊れる世界第8回(最終回)──自由世界とその時代  藤原帰一東京大学客員教授
〈致命的な後退〉
G7首脳は広島で何を失ったか──深刻化する核カオス  太田昌克(共同通信
〈世代間不公平論を超えて〉 
「次元の異なる少子化対策」を解きほぐす──より深い議論のために 岩田正美(日本女子大学名誉教授)
〈「時代を進める」ために〉
父はなぜ、ルーツを「語れなかった」か──SNSヘイトスピーチ裁判を経て 安田菜津紀(ジャーナリスト)
〈ポピュラー文化の転換期〉
悪しき因習を変えるために──ジャニーズ性加害問題から見えてくるもの 松谷創一郎(ジャーナリスト)
〈現場からの視点〉
ジャニーズ性加害問題と児童虐待対策の課題 川﨑二三彦(子どもの虹情報研修センター)
〈知識人としての肖像〉
大江健三郎の「戦後民主主義」 山本昭宏(神戸市外国語大学
〈「デモクラシー文学」へ〉
再録・大江健三郎のことば 第2回──「強権に確執をかもす志」 大江健三郎、解題=山本昭宏
〈大量老朽化時代へ〉
マンションは生き延びられるか? 五十嵐敬喜(法政大学名誉教授)
〈インタビュー〉
原発廃止は、将来を見据えた正しい決定でした シュテフィ・レムケ(ドイツ連邦環境大臣)、聞き手=吉田明
〈インタビュー〉
ミャンマーの将来について、今ほど希望を感じたことはない キン オーンマー(「プログレッシブ・ボイス」会長)、聞き手=秋元由紀

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◇世界の潮
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◇少年事件記録廃棄問題──裁判所は変われるか 霍見真一郎
◇「選挙師エルドアン」はいかに勝利したか──集権的大統領制のトルコ 間 寧
◇電気料金が高騰するわけ 山根小雪
◇韓国の入管法 憲法裁判所で違憲判断──「無期限収容」の是正へ 具良鈺