遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

祝 藤井聡太21歳の誕生日&「棋聖」の防衛。敵は「後手番」か?!

本日7月19日は、藤井聡太七冠の21歳の誕生日です、おめでとうございます。

昨日は、棋聖戦の第4局に勝利し棋聖タイトルを防衛しました。これで同タイトル4連覇となりました。

対戦相手の佐々木大地七段は、はじめてのタイトル戦で、ベトナムでの対局も有り、何かと大変なタイトル戦でしたでしょうがよく戦いました。勝敗は3勝1敗でしたが内容は一方的ではなかったと思います。

とりわけ佐々木が先手番で相がかり戦法にすると無類の強さを発揮し、昨日の第4局も、先手の佐々木が善戦していて、再終盤で藤井棋聖に寄り切られた形となりました。

上の写真は、昨日の防衛を決めた後の共同記者会見でのワンショットです(相変わらず、コーディネートが見事な和服姿です)。

この会見で「ここ2年ほど、先手番と後手番の勝率が2割ほど差が開いていて、課題だと感じています」と述べていましたが、ほんとにそうなのか調べてみました。

以下の表が、私がまとめた藤井聡太の先手と後手番の勝率の推移です。

2021年度以降に限ると、先手番だと72勝5敗勝率0.935だったのに対して、後手番だと48勝21敗勝率0.696で、確かに藤井が言うように2割以上の差がついています。これは少しギャップが大きいと思います。

とはいえ、後手番の藤井の勝率はここ最近2年でも7割近いものですから、彼に勝つのは並大抵ではないことであります。

全期間で見ても、先手番で0.892の勝率に対して、後手番では0.780となっていて差がついていますが、2020年以降、藤井の後手番の勝率が下がってきているのは、対局相手のAIによる先手番の研究が進んできたことに依るのかもしれません。(ちなみに佐々木大地は、先手番で0.742の勝率に対して、後手番では0.629でそのギャップは藤井よりわずかに大きくなっています。)

藤井は、タイトル戦の第1局が一番の鬼門ですが、それは事前に先手と後手の双方の研究が必要なため、準備不足になっていることがあるからなのだろうと推測します。

タイトル戦では、第1局とフルセットまで行った場合の最終局は、降り駒(抽選)で先手後手を対局直前に決めますが、それ以外はあらかじめ先手後手番が決まっていますので、公式戦の対局のうち大部分をタイトル戦で戦う人藤井聡太にとっては、逆に戦略が立てやすいとも言えます。

そして、2日制のタイトル戦のように持ち時間が8時間以上となると、事前準備が不足していても、藤井7冠は実戦で神のような手を考え出してしまいますので、まだ21歳になったばかりの天才の天下はしばらく続いていくことになるようです。