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あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

将棋 「えっ」初手の一手で反則負け?!

きょうの朝、Twitterのトレンドに「反則負け」というワードがあがっていて、もしかしてとクリックしたら「将棋で初手で反則負け」という信じられないニュースを目にしました。

事件が起こったのは名人戦のリーグ「順位戦 B1級」での一局です。

順位戦は、6月から3月までクラス別に行われるほぼ毎月行われるリーグ戦で、5月ころに年間スケジュール、対局相手・先手後手・対局場所などがあらかじめ決められて通知されます。

あらかじめ対戦相手と先手・後手が決まっていて、対局日も事前に知らされるのでので、棋士は事前の研究が進められるのですが、きょう起きた事件は先手番ではないのに先手で指してしまって反則負けになってしまったというものでした。

反則負けになったのは千田七段(28)で、きょうの対局は先手番だと思い込んで事前研究もみっちりやってきて対局に臨んだとたんに負けてしまったのでした。

その直後の画像が上のもので、千田七段の「えっ」という声で、他の棋士たちも千田七段の方を見ている画像です。(襖に近い中央奥で身体を傾けているのが千田七段)。

初手反則負けは過去に数番あったようですが、順位戦は各6時間持ちの対局で、終局は深夜に及ぶのが通常ですが、朝の10時開始直後に決着がついてしまいました。相手の近藤七段(26)は、順位戦4連敗からのスタートでしたがこれで6連勝となり、複雑な思いで対局場を後にしたと思われます。

将棋では先手が優利なのは確かで、AIによる研究がかなり進んでいる現在でも先手が52~53%くらいの勝率のようです。その先手のアドバンテージを生かさない手はないでしょう。B1級は、年間12対局のうち先手番は6局ですから、千田七段は「有利な先手番では絶対勝つぞー」という意気込みだったんでしょうね。

ちなみに藤井聡太五冠は、先手後手関係なく勝ちまくっている印象ですが、それでもやはり先手番の方が勝率は高く、先手番では【149勝20敗 勝率.882】なのに対して後手番では【148勝39敗 勝率.791】という戦績になっています。
藤井聡太の先手・後手別勝敗履歴(2022年12月22日現在)
先手番 149勝20敗 勝率.882
後手番 148勝39敗 勝率.791
合計  297勝59敗 勝率.834

ということで、反則負けの千田七段は「対局相手である近藤さん、応援して下さるファンの皆様、主催者の皆様に大変申し訳ない気持ちでいっぱいです」と語ったそうですが、若いのに立派なコメントですねー。

 

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