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あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

鳥取の新美術館が3億円でウォーホルの作品を購入しましたが...

鳥取県が2025年に倉吉でオープンする県立美術館の目玉作品として購入したアンディ・ウォーホルの作品が物議をかもしているようです。

県が購入したのは木製の立体作品「ブリロ・ボックス」(上の画像)。この作品5点を計約3億円で購入したそうです。

「ブリロ」は食器を洗う洗剤を含むスチールウールで、原型となった商品は100年以上前からアメリカで売られている製品。ウォーホルは、1960年代にこの作品を手掛けたようで、金属たわしが入ったブリロの箱を立体作品として木製の箱に仕立てたようです。

鳥取県が購入した5点の「ブリロ・ボックス」のうち、1点(6831万円)は1968年に制作された希少なもので、残る4点(各5578万円)はウォーホル死後の1990年、生前の企画展に関わっていた美術関係者がウォーホル了解のもとで作った作品だそうです。

県は、すでに「キャンベルスープ缶」を立体作品にした作品(4554万円)も購入済みだそうです。

9月の県議会や市民からは、この作品の購入について批判があったようです。

news.livedoor.com

ブリロ5点とキャンベル1点で合わせて3億5千万円のお買い物だったわけですが、新しい美術館がどれくらいの建設費がかかったとか、他の収蔵作品にどのようなものがあるのか知りませんが、それくらいの目玉作品を置かないとバランスが取れないのかもしれませんね。

いま著名な作家の作品を揃えようとしたら、3億ではとても予算が足りません。

ウォーホルの立体作品ならあまり人気がないので1点5千万円くらいで購入できるのでしょう。名作や著名作家の作品は、そもそも売りに出されることはまれだし、誰かが手放してオークションに出品される著名な作家作品は、県立美術館の予算ではとても高すぎて手が出ないでしょう。

鳥取に「ブリロ・ボックス」が5点あるということで、どれだけ鳥取の存在感をアピールできるかは、これからの問題でしょうが、地元の子どもたちが遠足で美術館を訪れて、この作品やほかの作品を面白がる可能性もあります。

私なら、わざわざ見に行くことはないかもしれませんが、倉吉に行くことがあれば足を運ぶ美術館であることには間違いないですね。

とまれ、今回物議をかもしたこの作品購入ニュースで、この美術館は有名になれそうなので、それはそれでよかったかもしれません。2025年に竣工オープンしたら、ほかにどんな所蔵作品があるか確かめてみたいと思います。

それとは別に、これから有名になろうとしている日本の若手作家の作品も、積極的に収集してほしいものです。

展示スペースがどんな広さか分かりませんが、若手の展示室用に、1点300万円で30点とか、500万円で20作品とかを、美術館オープンまでに買い揃えてはどうでしょう。

これならオープンまでの3年で、年3000万円の予算で済みますし、あまり批判を受けない(かな?)と思います。できるだけ多くの作家の多様性のある作品を展示することも、美術館の重要な役目かと思います。

これから、美大の卒業制作展の季節に入りますので、鳥取の新美術館担当のキュレーター(学芸員)は各大学などに足を運ばれて作家探しをされてもいいかと思います。また、既存の著名な作品展で未知の作家を探すのも有りかと存じます。

あるいは、年一回、作品を公募するのも有りかと思います。優秀作品の美術館買い上げを兼ねて、作品を全国から募集して展示する催しをおこなえば、それはとても良い公募展になると思います。

ということで、最後にいま京都で開催中のアンディ・ウォーホル展から以下の画像を紹介します。私が撮ったものではありませんが、同展はスマホでの撮影は許可されているそうですから、彼のキャンベルのスープ缶のシルクスクリーン作品と、ブリロ・ボックスとキャンベルのボックスがワンショットで収められそうです。