遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

アンディ・ウォーホルの「ショット・セージブルー・マリリン」

上は先日史上最高額(230億円)で落札された、アンディ・ウォーホルの「ショット・セージブルー・マリリン」という作品。

モデルはマリリン・モンロー(1926 - 1962)で、彼女が亡くなった直後に書かれた作品です。マリリンの写真をもとに色違いバージョンなど後年に刷られた作品などいくつかのバージョンが存在します。

この作品は、本物のマリリン・モンローの魅力には到底及ばないと思いますが、ウォーホルのマリリンとして世界中に認知されている作品です。

この作品は、既存の写真から起こしたもので、ウォーホルはこの技法で数々の著名人の作品を制作しています。思いつくまま示すと、エルビス・プレスリーエリザベス・テイラーミック・ジャガーチェ・ゲバラ毛沢東、などを描いた作品が挙げられます。ただし、ウォーホルが撮り下ろした写真を使っている作品もあるように思います。

シルクスクリーン技法で製作された作品は、同じモチーフの作品を多く作れることから比較的安価で提供されることが多く、私もほとんど無名の作家の額付き作品を何点かヤフオクで落札し自宅で楽しんでいます。

私の購入した作品の落札額は、新品の額の価格より安いくらいのものばかりで、エディション(シリアルナンバー:印刷部数)を見てみると、シルクスクリーンで30~50、エッチング(銅版画)の作品だともっと多くて、最大150とか250のものもあります。

ウォーホルのシルクスクリーンはどれくらいのエディションが存在するのかググってみたところ、キャンバスに刷られた1点ものから10刷くらいが標準で、多いものでは100くらい存在するそうですが、マリリンなどの美術館のお宝級の作品はそもそもオークションに出てこないので、落札価格が大変なことになっています。

今回史上最高額でセリ落とされた「ショット・セージブルー・マリリン」は、スイスの画廊が所有していたそうで、この画廊は後継者がいないため、所有する他の作品のすべてをオークションに出品するようです。

競売で得た収益はすべて、子どもたちの医療と教育の支援(例:手術が必要な子どもを抱える家庭への金銭的援助)に使われるとのことですから、他の作品も高額で落札されれば素敵ですね。

2022年9月には京都でウォーホル展が開催されるようですが、国内には彼の作品を所蔵する美術館も少なくありませんので、実際に作品が展示されているかを確認してから何かの機会に足をお運びください。

kininaruart.com