遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ジョニー・デップ裁判に見る有能な弁護士の痛快な仕事振り

ジョニー・デップと弁護士カミーユバスケス

被告人側と原告人側双方の弁護士がクライアントの名誉と自分たちの名誉のために良い仕事をするのを目のあたりにすることができるので、法廷ドラマや法廷ドキュメンタリーが面白くて好きです。

しかし、やはりドラマに比して実際の法廷内の動画を伴うドキュメンタリーは、圧倒的に迫力があって面白いと思います。

先週末から熱が出て床について安静にしていたのですが、睡眠以外にしていたことはベッドでYoutubeを見ていました。で、何を見ていたかというと「ジョニーデップ裁判」をずっと見ていました。ほぼ隅から隅まで鑑賞しました。

デップに関するDV(家庭内暴力)について、元妻だったアンバー・ハードが事実無根の記事を発表したことについて名誉棄損で元妻を訴えていた裁判の、6週間にわたる裁判記録が動画になって日本語訳がつけられてYoutubeにアップされていました。

裁判は、Youtubeで生放送もされていましたが、興味本位で少しは見ていましたが裁判内容は全く分からずじまいでした。しかし、最近になって日本語訳をつけていくつかのチャンネルが裁判の動画をアップしていたので、それをたっぷり楽しんだというわけです。

裁判の結果は、ジョニーデップの勝訴で終わったのですが、彼のDVが真実かどうかを証明するために多くの証人が双方の弁護士の質問に答えたわけですが、ゴシップ記事を見るようなデップとハードの個人的な生活の詳細が手に取るようにわかり、それだけでもセレブの暮らしが分かって興味深いものでした。

しかしそれより、デップ側の優れた弁護士が、アンバー・ハードの嘘をクールに暴いていく過程がじつにスリリングで痛快でした。

デップ側の弁護士は、男女あわせて4~5人いましたが、なかでもカミーユバスケスという38歳の女性弁護士が有能でカッコよくて、その仕事ぶりにほれぼれしました。

虫も殺さない清楚な女を法廷で演じる女優アンバー・ハード(36)を追い詰めるクールで有能な女弁護士という、同世代女性よる法廷闘争はフィクションでは描けないドラマチックなものでした。

法廷内のアンバー・ハード(左)とジョニー・デップ

裁判長も、ハード側の弁護士も女性で、陪審員も半分くらいは女性でしょうし、傍聴席も8割がたは女性で席が埋まっていましたので、女たちの法廷闘争という一面もあったかもしれません。

ジョニー・デップは、ハードが書いた記事がもとで、「パイレーツ・オブ・カビリアン」などの主演を下ろされ、それだけでもギャラの実害は大変なもので、彼が勝訴で勝ち取った1500万ドル(約20億円)がその信ぴょう性を表象していると思います。

カミーユバスケス弁護士は、この勝訴のごほうびとして弁護士事務所のパートナー(共同経営者)に昇進したそうです。ロスの有名弁護士事務所のパートナーというのは、弁護士としてのほぼ最終目的なのではないでしょうか。それほど彼女の仕事ぶりは見事なもので、柔和な表情を崩すことなくアンバー・ハードの嘘をさらけ出していく手法はお見事というほかないのであります。

デップの元恋人のケイト・モス(証人)

また、ハード側の弁護士の尋問中、バスケスは常にマイクを口元から離さず「Objection! 異議あり」と裁判長に訴えます。微妙なニュアンスを含む相手側弁護士の質問に対して間髪を入れず「異議あり!」と静かに訴えるバスケスがカッコイイのであります。


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ということで、弁護士の仕事とは、無実の依頼人のために全力を尽くすことだということが何よりもよくわかる法廷動画なのでした。

最終弁論を終えた後のデップと弁護士バスケス